着付け師とは、日本人の大切な伝統文化である着物をニーズに合わせて美しく着付ける仕事です。
しかし、着付け師の仕事に興味があっても心配な点もあるでしょう。
「資格が必要なんでしょ?」
「どんなところで働けるの?」
このような疑問から、なかなか最初の一歩を踏み出せない人もいるのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、着付け師にはそもそも資格が必要なのかという基本的なところから、資格種類、また着付け師として働ける職種などを紹介していきます。
着付け師はそもそも資格が必要?
着付け師は、お客様に着物を着せる職業です。
着付け師として実際の現場で働く場合「資格は必要なのではないか」と心配になる方もいるかもしれませんが、着付け師に資格は必要ありません。
必要なのはお客様と上手にコミュニケーションを取りながら、正確にお客様に合った着付けをする技術のみです。
とはいえ、着付けの仕事に就く際には、資格を持っている方が有利です。
資格があることで自分の自信にも繋がり、雇用する側も採用時の判断材料にもなるため、資格を取っておくに越したことはありません。
着付け師の資格は大きく分けて2つ
着付け師の資格には、公的なものと民間の団体が認定する2つのタイプがあります。
国家資格 着付け技能検定
着付け師の資格の中でも公的に取れる資格として広く知られているのが「着付け技能検定」です。
着付け技能検定は、平成21年10月に着付け師としての雇用の安定や社会的経済的地位の向上を目的に誕生した着付けの知識と技能を評価する試験です。
1級と2級があり、合格者はそれぞれ以下の代表の名前で「1級着付け技能士」、「2級着付け技能士」の国家資格が与えられます。
- 1級:厚生労働大臣名
- 2級:一般社団法人 全日本着付け技能センター 理事長名
試験は年に1回、学科と実技それぞれ別日で実施され、学科試験をパスすることが実技試験の受験資格です。
1級 | 2級 | |
試験場所 | 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡 | |
受験料 |
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学科試験(60分) |
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実技試験(2時間30分~3時間程度) |
浴衣、街着、付け下げ、訪問着、付け下げ訪問着、色留袖、黒留袖、中振袖、紋服(羽織袴) 上記のいずれかを一定時間内に着付け |
浴衣、街着、付け下げ、訪問着、付け下げ訪問着
の中から、いずれかを一定時間内に着付け |
実務経験 | 2級合格者は1年、それ以外は学歴や、美容師資格の有無などにより2~5年。 | 実務経験のみの場合は2年。大学、短大、専門学校の通学歴、また美容師資格がある場合は実務経験なしでも可。 |
それぞれの級によって、筆記試験、実技試験の範囲、実務経験の年数などが異なり、また、実技試験の内容は毎年7月に公式HPで発表されます。
民間の着付け教室で取得できる資格
着付け技能検定の他にも、各着付け教室でも着付けに関する資格を取得できます。
基礎から着付けを学び、プロとして仕事に就きたいという人には、特におすすめです。
着物の知識や着付けの経験が無くても一から学べるのが最大のメリットで、自分で着物をきる自装から人に着物を着せる他装へまで徐々にスキルアップしていくことが可能です。
また、それぞれのコースを修了した証として、学校独自のさまざまな資格を取得できます。
着付け師の資格が取れる教室とその費用
長沼静着物教室
長沼静着物教室は、創業60年の長い歴史を持つ大手着付け教室です。全国に30校以上の教室を構え、教室の立地も駅近でアクセスが良いと評判です。
さまざまなコースが用意されていますが、着付け師育成課では、初心者の状態から1年間で、浴衣などのカジュアルな着物から留袖、振袖といったフォーマルな着物まで、幅広く着付けの技術を習得できます。
コース修了後は、着付け師3級、2級、1級の資格を取得することが可能です。
着物や帯、小物ワンセットを一式レンタルできる「らくらくプラン」と、手持ちの着物や小物を使用し受講する「Myきものプラン」の2つのプランがあります。
授業時間は120分、一年間に全48回の授業があります。
12ヶ月一括払い | 月額 | |
らくらくプラン | 216,480円 | 19,800円(税込) |
Myきものプラン | 158,400円 | 14,300円(税込) |
コース修了後は独自の人材登録システム「シザブルスタッフ」に登録することで、連携する結婚式場や神社、スタジオなどで働くことができるのも嬉しいポイントです。
ハクビ京都きもの学院
1969年創業のハクビ京都きもの学院は、50年以上の歴史を持ち125万人以上もの卒業生を生み出している伝統の着付け教室です。
教室数が多いのも魅力の一つで、首都圏をはじめとする関東エリアを中心に、関東甲信越、東海、東北エリアに計115校もの教室があります。
ハクビ京都きもの学院の「エクセレント1年パック」では、一年で基本的な着付けから、留袖、振袖、女袴、七五三などの着付けのスキルを学べます。
受講後は、教室独自の「5級 準師範」「4級 師範」の資格と、国際文化教育協会発行の着付け国際免許の取得が可能です。
コース名 | 期間、回数 | 受講料 |
エクセレント1年パック | 1年(36回/90分) | 224,400円(税込) |
全教室で無料体験レッスンも行っているので、一度足を運んで教室の雰囲気や疑問点などを相談してみるのもよいでしょう。
一般社団法人 日本コンシェルジュ協会 マインアカデミー
マインアカデミーは、特に他装に力を入れ、即戦力となるプロを養成することに特に力を入れている着付け教室です。
東京、大阪、広島、九州の各エリアには14校の教室があります。
まずは基本科を9ヶ月、その後9ヶ月の専攻科のカリキュラムを受講することで「着装師認定」の資格を習得できます。
コース | 期間 | 月額 |
基本科 | 9ヶ月/月3回(90分/回) | 5,500円 |
専攻科 | 9ヶ月/月2回(2時間/回) | 5,500円 |
着装師認定取得後は、系列の「レンタル着物マイン」への就業サポートも行っていて、身に着けた着付けの技術をすぐに仕事として生かせるのも嬉しいポイントです。
さまざまある着付け師としての就職先
着付け師は、さまざまな業種で活躍することができます。
呉服店や着物の販売店
呉服店や着物の販売店は、店舗の売り上げを上げるためにお客様に着物を販売することがメインの仕事です。
普段の接客では、着物がお客様に似合うかどうかを仮に羽織って試着する程度で、正確な着付けの技術はあまり問われません。
それよりも、着物の知識やお手入れ方法などの着物の専門的な知識が必要になってきます。
お客様がどの着物にしようかと迷われているときには、年齢に合った着物の色み、柄の大小など的確にアドバイスすることも求められます。
実際に着付けを行う場面はあまりありませんが、着付け師の資格があれば、常連のお客様に長時間着物を着ていても着崩れないポイントを伝えることも可能です。
結婚式場
結婚式場では、主に結婚式の際の、新郎新婦のお母さま、親族、ゲストなどの着付けを行います。
黒留袖、色留袖、訪問着、振袖などを立場や年代に合わせて着付けます。その他着付けのスキルを磨けば、花嫁衣裳、紋服の着付けも行うことも可能です。
結婚式では、新郎新婦の母親の90%が黒留袖を着用します。
そのため、結婚式場の着付けスタッフは着付けの機会も多く、その分短期間で多くの実務経験を積めます。
写真スタジオ
写真スタジオは、結婚式や成人式の前撮りや七五三の記念撮影など和装での撮影も多く、着付け師が活躍できる仕事先です。
写真撮影の場合は、ヘアメイクと着付けをセットで行うので、美容師の資格に加えて着付けの技術があれば採用されやすくなります。
着付け師兼スタジオスタッフとして採用される場合は、着付け以外の受付業務や事務作業なども行います。
美容院
ヘアメイクのできる美容師が着付けの資格を持っていると大変便利です。ヘアメイクと着付けを同じ場所で一度に済ませられるからです。
着付けのみのスタッフとして雇用される場合には、仕事があるときだけ不定期で呼び出される形になり、報酬は少し不安定になってしまいます。
ヘアメイクがメインの業務となる美容院では、結婚式場や写真スタジオと比べ、着付けの件数自体も少なく、着付け師としての実務経験を豊富に積むことが難しいのがデメリットです。
着付け講師
着付けのスキルを活かして、着付け教室の講師として働けます。
しかし、ここで注意したいのが、流派や団体によって着付けの方法が違うことです。
着付け教室によって、特に腰紐やコーリンベルト、帯枕など使用する小物は微妙に違います。
着付け師としての実務経験があっても、新しい流派の講師として迎えられる場合には、その流派での着付け方法を一通り学ぶ必要があります。
着付け講師になりたい場合は、着付けを学んだ教室でスキルアップし、そこで講師として働くのがおすすめのルートです。
まとめ
着付け師は、特別な資格がなくても働ける職業です。
しかし、着付けについての何かしらの資格を取っておけば、自分の着付け技術の証明になり、就職も有利になります。
初心者さんは着付け教室から、知識や技術があれば国家資格に挑戦し、ぜひさまざまある着付け師の職場で活躍してください。
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