着物基礎知識

浴衣とは?格と着用シーン、コーディネートを徹底解説

浴衣は、夏祭りや花火大会などに誰でも一度は袖を通したことがある身近な着物です。

そんな身近な浴衣でも、使われる素材や浴衣の歴史について詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?

そこで今回は浴衣の特徴や素材、歴史などの基礎的なところから、帯合わせやコーディネート例など詳しく解説していきます。


浴衣とは?

まずは、浴衣の特徴と浴衣に使われる様々な素材について紹介します。

浴衣の特徴

浴衣は、6~9月に着用する夏限定の着物です。

多くの浴衣の柄は、アジサイや朝顔、花火やトンボ、ススキなど初夏から夏の終わりにかけての風物詩をモチーフにしています。

それに加えて、最近ではバラやユリ、蝶々など洋風の柄や、幾何学模様など現代風の色柄なども増え、バラエディーも豊富です。

価格も他の着物に比べるとリーズナブルで帯結びも簡単なので、「着物が苦手」という人も浴衣ならと、夏祭りや花火大会などに多くの人が着用し楽しんでいます。

いろいろな素材

浴衣の素材は木綿が一般的ですが、その他様々な種類の素材で作られています。

綿コーマ

最も一般的な浴衣の生地で、浴衣の多くがこの綿コーマを使って作られています。

着心地が良く、肌触りも柔らかで、通気性にも優れています。

綿麻(めんあさ)

綿麻素材も浴衣の代表的な素材の一つで、その名の通り綿と麻の入り混じった繊維です。

通気性の良い木綿の特性に、麻特有のシャリ感がプラスされ、さらっとした肌ざわりがさわやかで着心地の良いのが特徴です。

綿縮(めんちぢみ)

緯糸(よこいと)に強撚糸(きょうねんし)という強くねじりを加えた糸を使って織り上げられています。

生地の表面にはシボと呼ばれる凹凸ができているのが特徴で、凹凸がある事で肌との接着面積が少なくなり、着心地が涼やかです。

綿紬(めんつむぎ)

一般的に浴衣の生地は白生地に染色される後染めタイプですが、綿紬の場合は、先に糸を染めてそこから反物として織り上げます。

高級な生地で一般的な木綿の生地よりもハリがあり、しっかりしているのが特徴です。

綿紅梅(めんこうばい)

高級浴衣の一種です。

異なる太さの糸を組み合わせて格子状に織る事で、生地に凹凸が生まれます。

この凹凸がある事で、肌にピタッと張り付くことがなく、涼しく着用することができます。

凹凸を表す「勾配」が転じて「紅梅」と名付けられました。

綿絽(めんろ)

夏の着物の絽と同じように、緯糸に等間隔で隙間を作りながら織り上げられます。

透け感があり、着用している本人はもちろん、見た目にも涼しい浴衣地です。

ポリエステル

ポリエステルは化学繊維の一種です。

ポリエステルは色を染めた時の発色性に優れています。

色落ちもしにくく、シワになりにくいのでお手入れが簡単ですが、吸水性や通気性は木綿の生地には劣ります。

浴衣の格


着物は、その種類によって第一礼装から普段着までそれぞれの格に分類されます。

浴衣は一番格下の普段着に分類され、洋服でいうとTシャツにGパン、足元はサンダルといった感じの最もカジュアルな着物です。

合わせる帯を名古屋帯などにすると少しよそゆきの着物になりますが、あくまでもおしゃれ着や普段着として着用します。

浴衣の歴史

浴衣の歴史は古く、その起源は平安時代までさかのぼります。

当時の貴族が蒸し風呂に入る時にやけどをしないように着たのが浴衣の始まりで湯帷子(ゆかたびら)と呼ばれていました。

その後、肌ざわり良く吸汗性や通気性にも優れていた浴衣は、湯上りや寝間着として用いられるようになります。

江戸時代に入ると夏のくつろぎ着となり、だんだんと外出着へとその用途を広げていきます。盆踊りや花火などに浴衣を着て出かける事が流行し、江戸の庶民へと定着していきました。

全国的に普及したのは明治時代に入ってからで、夏の風物詩として年代を問わずあっという間に広がり、現在に至ります。

素材や帯合わせで変わる浴衣のTPO

カジュアルな浴衣も、合わせる帯を変えれば少し大人な夏着物として着用できます。

定番の浴衣のスタイルと、少しよそゆきのコーディネートを紹介します。

半幅帯を合わせて花火大会やお祭りに


お祭りや花火大会に浴衣を着て出かけて行く時には、半巾帯を合わせます。

半巾帯とは、幅が17cmと通常の帯よりも狭い帯で、カジュアルな着物に合わせて使う帯のことです。

半巾帯の帯結びは、他の帯より結びやすいのが特徴です。様々な帯結びの中から好みや浴衣の雰囲気に合わせてお気に入りをチョイスしましょう。

浴衣の場合、基本的に長襦袢は着用しません。肌着や裾除けの上に直接浴衣を羽織ります。

バッグは、ナチュラルなかごバッグや和風の巾着などがよく合います。

足元は、素足に下駄や草履を履きますが、草履を選ぶ際には汚れが目立たない、黒っぽいものや塗のものがおすすめです。

最近では、帯のアクセントとして帯締めを締めたり、帯結びの上で大きなレースのリボンを結んだりと様々なアレンジで個性的な浴衣姿を楽しんでいる人も大勢います。

名古屋帯を合わせて少しよそゆきに

綿麻、綿紅梅、綿絽などの高級浴衣は名古屋帯を合わせると、気軽な夏のお出かけ着になります。

帯も夏らしいさらっとした素材のものを選び、帯締めに帯留めで浴衣姿を引き締めましょう。

浴衣を夏着物風に着用する場合には、浴衣の下に長襦袢を着ます。透け感のある生地が多い浴衣には透けても心配の無いシンプルな白地の長襦袢を合わせましょう。

足元は着物と同じく足袋に普段着用の底の低めの草履を合わせて、しっとりと落ち着いた大人の女性を演出しましょう。

さまざまな帯結び

半幅帯で結ぶ帯結びはどれも簡単に結べます。

以下、浴衣の代表的な帯結びを紹介します。

スタンダードな文庫結び

浴衣の帯結びの中で最もスタンダードなのが文庫結びです。

文庫結びはどんなタイプの浴衣や帯でも無難にまとまるおすすめの定番スタイルです。

リボンの部分を小さくしてキュートな雰囲気に仕上げたり、リボンを長くして下に下げたりとアレンジも自在です。

粋な貝の口

貝の口は、古典柄の浴衣や落ち着いた雰囲気の帯にピッタリの帯結びです。

全体の雰囲気をを大人の女性のイメージに仕上げたい時に向いています。

帯締めや帯留めを合わせればさらに大人の雰囲気がアップします。

女性らしいリボン返し


だらりと垂れた二枚の帯先が、動く度にひらひらと揺れる女性らしい帯結びです。

表と裏の色合いの違う半幅帯を選ぶと、更に変化を付ける事ができます。

また、帯の先にワンポイントの模様などがある半幅帯におすすめです。

複雑そうな帯結びに見えますがとっても簡単に結ぶことができます。少し変わった帯結びで個性を演出したいという人にはピッタリです。

浴衣に関するQ&A

浴衣に関する疑問を解決しましょう。

補正は必要?

浴衣の場合でも、できれば補正を行いましょう。

補正の目的は「ボディーラインの凹凸をできるだけなくし筒形に整える事」。

こうすることで直線縫い、直線断ちの着物がぴったりと体にフィットし、シワなくすっきり仕上がり、着崩れにくくなります。

訪問着などのフォーマルな着物は、胴回りにタオルを巻き、更に胸元やヒップに綿を入れボディーラインを整えます。しかし、浴衣はあくまでも普段着なので、補正も簡単に行いましょう。

胴回りに縦に折りたたんだタオルを1本巻きつけます。

ウエストからヒップにかけてくびれのある人は、4つに折りたたんだタオルをもう一枚ヒップラインに当てます。簡単な補正ですが、これをするとしないとでは出来上がりの浴衣姿が随分違います。

また、胸が豊かな女性の場合は、胸のボリュームを抑える和装ブラジャーがあると、スッキリと着こなせます。

冷房のい効いた場所での冷え対策は?

夏の蒸し暑い気候の中では、薄手の浴衣は快適です。

しかし、冷房がガンガン効いた建物の中に長時間いる場合には、少し肌寒く感じてしまうこともあるかもしれません。

そんなときのために、足袋を用意しておくと便利です。着物を着るときの本格的な足袋よりも簡単に脱ぎ履きできるソックスタイプの足袋がより便利です。

その他麻などのストールを用意しておくと、肩に掛けたり、ひざ掛け代わりにしたりと一枚で体を冷房の冷気から守る事ができ重宝します。

自宅で洗える?着用後のケアは?

木綿性の浴衣は、自宅で簡単に洗えます。

夏の時期に着る浴衣は特に汗をかきやすいので、帰ったらすぐにお手入れしましょう。

まずは、シワにならないように丁寧にたたみ、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗います。

シワを防ぐために脱水は通常より短めにします。干す前には浴衣の生地を軽く手でのばしましょう。

また、色あせを防ぐために、直射日光の当たらない風通しの良いところで干し、最後にアイロンがけします。

麻が入った浴衣は熱に弱いので少し注意が必要です。直接アイロン面を当てず、少し離してアイロンをかけるなどの工夫をしましょう。

長時間水に浸けておいたり、ぬるま湯で洗濯するのは色落ちの原因になるのでNGです。

高級な浴衣で自宅ケアに自信がない場合には、クリーニング店にお願いすると安心です。

まとめ

浴衣は夏祭りや花火、縁日などに欠かせない夏のおしゃれ着です。

カジュアルな着物なので「こうしなければならない」というルールは基本的にありません。

半巾帯でおしゃれに、名古屋帯を合わせて上品に、その場の雰囲気に合わせて浴衣姿を思う存分楽しんで下さい。