着物基礎知識

自分でできる!着物のお手入れ方法を伝授。着た後のルーティンから応急処置まで徹底解説。

着物を着た後、お手入れ方法がわからず困ってしまったことありませんか?

そんなあなたに、大切な着物を長く美しく保つための、自分でできる着物のお手入れ方法をご紹介します。

ほんの少し手をかけることで、着物を永く楽しめるようになりますよ。着物を着る時は、ぜひ参考にしてみてください。


着物を着た後のお手入れ

着物を着た後に行うお手入れは、次回も美しい着物を着るためにとても重要です。どのようなお手入れをすることで、着物を綺麗な状態に保つことができるのか解説していきます。

着物

着物を脱いだら、まずはハンガーに一晩かけておきましょう。

そうすることで、着用していた際にこもった湿気を取り除き、シワを伸ばします。着物には、水平にまっすぐな形をしていて腕を通す部分の長さの調節を行える専用の『着物ハンガー』があるので、それを使えばラクチンです。

着物を干す場所は、直射日光の当たらない風通しのいいところにしましょう。着物の生地は、蛍光灯の明かりでも傷んでしまうことがあるので、カーテンを閉めて電気も消した暗い状態で干してください。

陰干しが終わったら、乾いた清潔なタオルを使って、着物についたほこりを優しく払ってあげます。この時に、シミや汚れ、ほつれ等がないかをくまなくチェックします。この時のチェックポイントは、後で詳しくご紹介しますね。

長襦袢

長襦袢は、まず半衿をチェックします。

もしも汚れが付いているようなら外して中性洗剤を溶かしたぬるま湯につけます。ゴシゴシ洗うのではなく、叩くように洗いましょう。タオルで水気を取ったら、陰干ししたのちアイロンをかけます。ただしデリケートな絹の半衿の場合は、アイロンがけのときにスチームを使うと縮んでしまうので注意が必要です。

絹の長襦袢の場合は着物ハンガーにかけて、1〜2晩干します。干し時間が長いのは、汗を吸っている量が着物よりも長いからです。干し終わったら、着物同様に汚れをチェックします。汚れがなかったら、袖口などしわの多いところにアイロンをかけましょう。この時スチームは使わないでください。

絹以外の長襦袢は、綺麗にたたんで洗濯ネットに入れ、洗濯機で洗って問題ありません。洗い終わったらゆるく脱水をかけて、干しましょう。7割くらい乾いてきたら、アイロンをかけてあげます。ポリエステルの場合は、高温でアイロンがけすると縮んでしまうので、温度調節に注意してください。

帯もハンガーにかけて、湿気を飛ばします。

帯は外してから時間が経つと、シワが取れにくくなるので、外してすぐにハンガーにかけましょう。このときに汚れのチェックも行ってくださいね。着物とは違い、帯の干し時間は2時間ほど。ヤケや傷みを防ぐために、帯も光の当たらないところに干してください。

小物

腰ひも、伊達締め、帯揚げや帯締めなどの小物は、帯と同様に暗所に干して湿気を取ります。

帯締めの房がバラバラになってしまっていたら、アイロンのスチームを当てましょう。その後に、房の幅と長さを同じに切った和紙や半紙、なければコピー用紙などを房に巻きつけます。そのまま収納すれば、次回使うときに房がぐちゃぐちゃになっているというような事も防げます。

 

シミや汚れがないか徹底チェック

着物をハンガーに掛けた状態で、シミや汚れのチェックを行いましょう。わずかなシミでも、見逃してしまうと後から目立ってきてしまうこともあるので、着物全体を入念に調べていきます。

掛け衿

一番汚れがつきやすいのが、首の後ろ側から鎖骨にかけての掛衿部分。汗や皮脂、お化粧汚れなどが付いていないかチェックをしてください。

袖口

直接肌に触れることが多い袖口は、掛衿と同じように汚れがつきやすい場所です。袖口汚れを放置していると、あとあと目立ってきてしまうことに。内側と外側の両方をチェックしましょう。

前身頃

衿が重なる部分と、ちょうどひざの部分の前身頃は、食べこぼしやソースまた飲み物のシミなどが付いている場合があります。油汚れである可能性があるので、しっかりとチェックしてください。

地面からの土埃や泥ハネ、また雨ジミなどがつきやすいのが裾の部分です。見逃してしまいそうな小さなシミがあるかもしれません。注意して見てみましょう。

両胸と背中

帯を締める部分である両胸と背中の帯胴回りは、汗をかきやすい場所ですね。汗染みができていないかどうか、裏地を確認してみてください。

タンスへしまうときのお手入れ

着物をタンスへしまう前にしっかりとお手入れをすることで、着物を長く美しく保つことができます。自分でできるお手入れ方法がどのようなものなのか、ご紹介していきます。

シワなくたたむ

着物を美しく長持ちさせるためには、タンスへしまう際に正しいたたみ方をする必要があります。シワのある状態のまま収納すると、型崩れの原因になる可能性があるので注意が必要です。
生地がまっすぐ裁断されている着物は、基本的に折り目に沿ってたたんでいけば問題ありません。正しいたたみ方をすることで、より美しい状態での保存が可能になります。着物に触れる際は、着物が汚れてしまわないように清潔な手でたたむようにしましょう。

防虫剤、吸湿剤を忘れずに入れる

着物を綺麗にたたんだ後は、一枚づつたとう紙に包んで収納します。たとう紙は和紙で作られていて、通気性に優れ除湿効果の高いことが特徴です。この紙に包むことでカビの発生を防ぎますが、それだけでは防虫防カビ対策は十分とは言えません。湿気に大変弱い着物は、カビの発生や虫食いなど起こりやすいため、防虫剤と吸湿剤を入れておく必要があります。

防虫剤を使うときの注意点は、一種類のみ使用するということです。数種類の防虫剤を一緒に使用すると、化学反応を起こしてシミや変色の原因になってしまいます。それだけではなく、匂いがひどくなったり有害物質を発生させることも。防虫剤と吸湿剤は一緒に使っても問題ありません。ただし、着物に直接触れないように、たとう紙の上や、たんすの四隅に置きましょう。

吸湿剤・除湿剤は着物専用のものがあるので、それを使えば安心ですね。吸湿剤・除湿剤は、水分がたまってくるとカビの原因になるので、半年に一度は換えましょう。

ウールや革製品は別にする

カビと虫が非常に発生しやすいウールと革製品は、着物とは別の場所へ収納します。特にウールは虫の餌となって卵を産み付けられてしまったりするため、ウール製品のみで防虫剤と一緒に保管することをお勧めします。革製品は少しの湿気でカビが簡単に発生してしまうので、吸湿剤・除湿剤と一緒に保管をしましょう。着物をタンスに収納している場合は、同じタンスにしまうことは避ける方が安全です。

年3回の虫干しをしよう

着物を長くしまっていると、どれだけ対策をしていても湿気や虫が発生してしまいます。着物に風を通して湿気を払い、虫を取り除くためのお手入れは虫干しが有効です。しまっていた着物に異常がないかどうかの確認も含め、年に三回は虫干しを行いましょう。

正しい方法

虫干しに一番最適とされる時期は、10月上旬〜11月上旬です。その他の時期にも、「土用干し」と「寒干し」があり、それぞれにその方法が異なります。

  • 土用干し

7月下旬~8月上旬、梅雨の時期にこもった湿気を飛ばすために行います。

  • 虫干し

10月上旬~11月上旬に行い、夏の間に発生した害虫を取り除きます。

  • 寒干し

1月下旬~2月上旬に行う寒干しは、空気が乾燥している冬の時期に、湿気を飛ばすためのものです。

虫干しに向いている日は、晴れた日が数日続いた乾燥した冬の日です。

持っている着物をそれぞれ衣紋掛けやハンガーにかけて、直射日光の当たらない風通しの良い場所で日中4時間ほど干します。虫干しをする際は、必ず一日中晴れであることを確認してから、午前10時〜午後2時の間に行いましょう。

干している際に、着物に見落とした汚れや虫食いなどがないかをチェックします。着物の収納場所が空になっている状態なので、そこの掃除も一緒に行うとなお良いですね。

時間がないときは簡単でOK

虫干しの頻度は多いに越したことがありませんが、時間がない場合は簡単に済ませても問題ありません。虫干しをする時期はいつでも構わないので、年に2回ほど空気の乾燥した日に行いましょう。

また、年に1、2度着物をしまっているタンスの引き出しを開るだけでも効果はあります。衣装箱の場合も同様に、蓋を開けて風を通してください。少しの手間をかけてあげるだけで、着物は美しい姿を保ってくれます。長く楽しめるように、お手入れを忘れず行いたいですね。

着物を汚してしまったら…

出先でついた着物の汚れ、自宅に帰るまで汚れを放置していたらシミになってしまうかも。そんな不安に駆られたことはありませんか?実は、その場でできる応急処置があるんです。出掛けた先で着物を汚してしまった時には、ぜひやってみてくださいね。

その場でできる応急処置

汗ジミ

衿のシミは着物を脱ぐ必要がありますが、帯周りや脇であれば応急処置が可能です。

汗が染みてしまっている部分に霧吹きで水をかけ、タオルで叩くように落とします。霧吹きがない場合には、水で濡らした手を汗染みがある場所に当てる程度で構いません。

処置後に乾かす必要がありますが、それを完璧に行うことは不可能なので、しっかりタオルドライしてください。

汗染みがよくできる人は、小さな携帯用スプレーボトルに水を入れて持ち歩いておくのもいいかもしれませんね。

コーヒー・紅茶・お茶のシミ

コーヒーや紅茶、またお茶などをこぼしてしまった時は、すぐに対処することが肝心です。

シミは濡れタオルで対処が可能です。タオルがない時は、ティッシュやハンカチ、またウェットティッシュで代用できます。

できたシミの上から、押さえるようにしてシミを取ります。ぎゅっと押さえたりこすったりしてしまうと、繊維に染み込んでしまって簡単に取れなくなってしまうので、ポンポンと叩くように行ってください。

できるだけすぐに専門店へ

インクやマジックインキ、朱肉。ソースや醤油、果汁。

また油類がついてしまったら、専門家に任せるしか方法がありません。下手にシミを取ろうとして余計に汚れが広がってしまわないように、これらが着物についてしまった場合はすぐに専門店へ染抜きの依頼をしましょう。

どうにかなるかもと自分で染抜きをして失敗してしまったら、大切な着物が台無しになってしまいます。元通りの着物をまた身につけられると考えれば、多少お金がかかってしまうことは仕方がありません。

まとめ

大切な着物は日々のお手入れを欠かさずにいることで、長く美しい状態を保つことができます。着物を着た後に何をすればいいのかを知っておけば、着物を着ることがもっと楽しくなりますね。

こちらで紹介した方法を参考にして、ぜひ着物を大事に長く使えるようにしてみてください。