着物基礎知識

着物の生地には何がある?素材別・作り方別に特徴を全部解説!

着物は季節をとても大切にするお召し物です。

着物や帯の柄ゆきのみならず、冬は袷、初夏・初秋は単衣、夏は薄物と季節に合わせた素材で四季を感じることが出来るのです。

きちんとした着物の装いを楽しむためにも、着物の生地素材や種類について知っておくことは大切です。

今回は、着物の生地について、素材、作り方の特徴などを解説していきます!


着物に使われる生地は50種類以上!?


着物に用いられる生地にはどんなものがあるのか知りたいという方も多いでしょう。

実は、着物生地には50を優に超える種類があります。

しかし、その種類分けはなかなか難しく、大まかには絹、木綿、ウール、化繊、麻と分けることが出来ますが、更に細かく分けるとなった時の明白な基準は確立されていません。

絹は絹でも織りのものもあれば染めのものもあります。

同じ紬でも織り方や産地が異なればその種類は15以上です。

同じ縮緬であっても、御召もあれば楊柳縮緬もあり、他にも絽縮緬、鬼しぼ縮緬、紋意匠縮緬、変わり縮緬など多数存在します。

更に言えば、紋意匠縮緬においては、生地の厚手薄手、紋様によってもより細かく種類わけすることが出来るのです。

このように、着物の生地は作り方によっても種類が分けられ、素材によっても種類が分けられ、産地や特徴によっても種類が分けられるのです。

日本人の暮らしによりそう着物


着物の生地にこれほどまでに多くの種類があるのは、日本の風土や気候、そして日本人特有の季節感があると考えられます。

今でこそ冷暖房がそこらかしこに設備され、着るものの機能性というよりもデザイン性を重視出来る世の中になりましたが、明治以前にそんな便利なものはありません。

寒さにしろ暑さにしろ、着物一つで上手く調整しなくてはいけなかったのです。だからこそ着物の素材は大変重要視されました。

夏であれば涼しく着られる絽や紗、羅などの薄物、肌馴染みの良い木綿や麻が重宝され、冬の寒い時期には厚手のウール素材のものや絹でも袷のものが重宝されたのです。

季節に合わせた素材をもとに、更なる技術や独特の技法が加わり、着物の生地の種類がどんどん増えていったのだと考えられます。

素材による種類


着物の生地素材には、王道の正絹以外にも木綿や麻など様々なものがあります。

洋服も季節にしたがって生地や素材を替えるように、和装でも季節に応じた相応しい生地や素材があるのです。

ひと言で絹といっても色々あります。

生糸(精練する前の絹糸)や絹糸、玉糸(二匹以上の蚕が入った繭から紡いだ糸)、野蚕糸(天蚕や柞蚕などから紡いだ糸)などを用いた織物全般を一般的に絹織物と呼んでいます。

絹は肌馴染みが良く、体温調整にも優れる素材なため、一年を通して着ていても決して着苦しさは感じません。

お手入れには注意が必要です。

絹は家でじゃぶじゃぶと水洗い出来るものではないので、汚してしまった時には専門店でクリーニングしてもらいましょう。汗を沢山かいてしまったと感じる場合は、保管する前にしっかり着物を乾燥させ、湿気を逃がしましょう。

洋装でもシルク素材は高級なものが多いように、着物においても正絹の着物は最上位の格を誇っています。

付け下げ訪問着より格上のフォーマルな装いの着物―留袖、振袖、訪問着など―に用いられる生地は正絹であることがほとんどです。

絹は高級品であるため、正絹着物は安く見積もっても数十万はしてしまいます。

特別な技法が用いられていない訪問着であっても、30万前後が相場とされています。

特に、振袖や留袖などの第一礼装になると、着物に施された技法やら染色やら、作った人物の知名度によってもお値段は数百万から数千万まで跳ね上がってしまうこともあるのです。

木綿

綿の種子に密生する繊維を採り、糸に加工したものを木綿と言います。

繊維の長さ、太さ、光沢によって、米綿、インド綿、エジプト綿などと産地名で呼ばれています。
中でも西インド諸島で生産される海島綿はしなやかでかつ絹のような光沢を持ち丈夫なため、着物にも広く用いられてきました。

日本では元々麻を着物生地に用いていましたが、シルクロードの発達によって木綿が伝わり、そこから木綿着物の歴史がスタートしたのです。

木綿の柔らかい着心地、染色しやすい性質ゆえに、木綿はあっという間に広まったと言います。

現在は着物離れが進んだことで日本の産地も減り、着尺地として木綿織りを続けているのは、弓浜絣、久留米絣、広瀬絣、備後絣など少数になってしまいました。

木綿は絣生地としても知られていますが、近年では浴衣生地として広く用いられています。

通気性の良さ、吸湿性の高さから真夏の暑い時期に着るのに相応しく、人気があります。
家で手軽に洗濯できるというのも人気が高い理由の一つでしょう。

木綿素材の着物、特に浴衣であれば、安ければ5000円から手軽に購入することも出来るので、着物初心者の方でも気軽に着物生活を始められます。

大麻の皮をはいで繊維を採って麻糸とし、これを織って作ったものを麻織物と言います。

麻は耐水性に優れとても丈夫だったことから、日本でも麻の着物が広く普及していました。その後、江戸時代に入ってきた木綿によって衰退しました。

現在は夏用の上布として用いられており、その相場は大体14万前後。安いものであれば5万円台からあります。

ウール

ウールは、厚手の毛織物として知られる生地で、特に冬場に活躍します。

厚手の生地は強度もそれなりなので、冬の普段着用着物に最適です。

価格に幅があり、安いもので粗い生地のものであれば1万円前後から、柔らかなぬくもりがクセになる質感の高級品であれば20万円ほどになります。

木綿同様、自宅でじゃぶじゃぶ洗え、保管も絹ほど気を使わずに手軽に出来ることから人気があります。

ただし、絹の着物と重ねてウールの着物を保管することは絶対にやってはいけないことなので気を付けましょう。

化繊

絹の素材に似せて作られるようになったのが、化繊素材の着物です。

絹ほど高級ではなく、自宅で手洗いでき、シワにもなりにくく、手軽に保管することが出来ることから人気が高まっています。

化繊素材の特徴として、発色の良さが挙げられます。ビビッドカラーや個性的な文様の着物の素材として化繊が用いられることは多いです。

しかし、化繊は熱を逃がしにくい素材なので、着ていて暑くなってしまうことも多いです。できれば暑くなりそうな日には避けたい素材ではあります。

化繊素材の着物は1万円台のものからあります。最近では高級化繊素材のものが増えてきており、安くても5万円台、相場としては10万円台のものが多くなりました。

レンタル店では高級化繊素材の着物が多く取り揃えられていますが、正絹の着物とレンタル料を比較しても大差がなくなりつつあります。それだけ化繊素材の着物が普及しつつあるとも言えるのかもしれません。

作り方による種類


同じ絹素材の生地でも、織り方や糸の撚り方によって全く違った質感のものになります。

素材そのものの違いだけではなく、作り方の違いを知ることでより季節に相応しい着物を楽しむことができるようになるのです。

縮緬(ちりめん)

縮緬は縮緬細工に用いられることでお馴染みの生地で、強く撚った緯糸と撚りをかけない経糸で織った絹織物です。

「しぼ」と呼ばれる細やかな凹凸が特徴で、主に着物、帯、半衿、帯揚げの地として用いられます。

絹で作られる縮緬が一般的ではありますが、最近は化繊素材の縮緬も目にする機会が増えました。

縮緬素材の着物は、反物であれば5万円台からありますが、相場としては20万円前後になります。

綸子(りんず)

絹の紋織物の一つで、光沢があり、さらっとした質感が特徴的な生地です。

主に長襦袢や帯揚げの地に用いられます。着物生地としても用いられますが、生地がつるつるして滑りやすく、初心者の方が自装するには不向きなものとなっています。

綸子素材の着物は反物であれば6万円台から、相場としては12万円前後になります。

羽二重(はぶたえ)

平絹とも言い、経緯に撚らない生糸を使用した、深い光沢のある絹織物が羽二重です。

白生地を織った後に染めて、男性の紋付きはじめ正装用の着物生地として用いられることが多いです。女性ものであれば色無地の生地などに用いられます。

反物であれば5万円台から、相場としては10万円前後になります。

御召(おめし)

御召とは御召縮緬の略称で、縮緬素材の一種に数えられます。

糸の段階で精錬し、先染めした後に織り上げた、先染め織物の代表的な高級着尺地になります。

通常の縮緬は生地に織った後で精錬しますが、御召は織る前に精錬するため「しぼ」の状態や風合いも異なり、縮緬の一種だとあまり知られていません。

御召の反物であれば5万円台から、仕立て上がりは20万円前後が相場となっています。

紬(つむぎ)

真綿から手で紡いだ紬糸で織った平織の絹織物を紬と言います。

地機(じばた)や高機(たかばた)の手織り機が多く用いられていましたが、近年では機械織りのものも多くなりました。

紬は、軽くて丈夫なことから普段着として普及したこともありました。

紬が織られているところは養蚕地帯が多かったこともあり、各地で各々独特の紬が誕生しました。大島紬、結城紬などはその代表格です。

紬の相場はかなり幅があり、一概に価格帯を提示するのは難しいです。

例えば、手機で織られるものは時間がかかるため、価格も高くなる傾向があります。その中でも絣文は最も時間がかかる織りなので、値段も跳ね上がります。

逆に縞模様や無地の紬であれば、時間がそこまでかからないので5万円台から手に入るものもあります。

ちなみに、高級紬と呼ばれる紬は50万前後が相場と考えて良いでしょう。

紗もからみ織りの一種です。

二本の経糸がからむごとに、緯糸一越を交差させたもので、もっとも簡単なからみ織り組織でもあります。

盛夏の着物、帯、羽織などに用いられることが多いです。

紗の反物は7万円台から、相場としては10万円前後になります。

盛夏用の染め下生地で、絹のからみ織りの一種になります。

からみ織りの部分にできた隙間を絽目といい、絽目と絽目の間に緯糸が数本通っているものを横絽、絽目が縦に並んでいるものを竪絽と呼びます。

横絽のものはさらりとした肌触りが特徴で、見た目にも涼しさが感じられ、盛夏用として重宝されることが多いです。

対する竪絽は、横絽に比べて目がつんでいるのでどちらかと言えば初夏向きの生地として用いられます。

絽の着物は反物であれば10万円台から、高いもので50万円前後のものも存在します。相場としては15万円から20万円ぐらいと考えて良いでしょう。

広い意味では、非常に薄く織られた織物の総称で、薄物、薄機とも呼ばれることがあります。

狭義では、経糸同士がからんで、それを緯糸が支えているようなからみ織の有職織物の一つという意味で用いられます。

羅は元々貴族の装束に用いられるような高級品でしたが、貴族の衰退とともに一度は姿を消しつつありました。
昭和に入り喜多川平朗氏が尽力し、奈良時代に繁栄した精緻な羅の再現と復興を遂げたのです。
現在私たちが羅に触れることが出来るのは、喜多川氏のおかげなのですね。

羅の生地を用いた着物は反物であれば5万円ぐらいから、相場としては15万円前後となります。

絞り

絞りとは絞り染めの略称で、原始的な染色法のことを言います。

布の一部を糸でくくったり、縫い絞ったり、板で挟んだりして防染し、染液に浸して染める技法です。

絞りの生地は帯揚げによく用いられますが、未婚女性の第一礼装でもある振袖に総絞りが用いられることもあります。総絞りの振袖は大変な高級品として知られ、中には数千万円という超高級品もあるぐらいです。

絞りは水に濡れると絞りが全て伸びてなくなってしまうので、不注意で絞りを濡らすことはもちろん、雨で濡らすこともあってはなりません。

保管もそうですが、着ている時も色々と注意が必要になるので、着物初心者にはあまり向いていないでしょう。

まとめ

着物の生地に関して、大まかに素材や作り方によって分けてきました。

縮緬と一言で言っても様々な種類があるので、「もっと知りたい!」という方は是非調べてみてください。

また、今回価格相場に関しましても参考価格を提示していますが、着物の種類、用いられている技法、着物の古さなどによっても値段は前後するので、あくまで参考としてお使い下さい。