着物が崩れないように、帯回りを固定する重要な枠割がある帯締めは、着物を着るうえでとても大切な存在です。
素材や種類も豊富なのでコーディネートに迷う方も多いのではないでしょうか。
「帯締めを取り入れて着物を可愛くきこなしたい」
「冠婚葬祭での帯締めのマナーを知りたい」
そんなあなたに向けて、今回は着物のおしゃれの幅を広げる帯締めの取り入れ方やコーディネートのヒントなどをご紹介します。
帯締めの役割
着物全体の中央部分にあたる帯締めは、とても存在感ある着物小物の一つです。
帯締めにはどのような役割があるか見ていきましょう。
帯の形をキープする
帯締めは名前のとおり、帯を締めて帯の形をキープするために使われます。
着物の仕上げとも言われる帯締めですが、帯締めが上手に結べていないと、少し動いただけで帯がゆるんでしまうこともあるでしょう。
外出先で、着物が崩れてしまうと、自身で着物を整えるのはとても大変ですよね。
美しい着物姿を保つために、帯締めは正しく締めることがポイントです。
装飾性も持ち合わせる
現在は帯の形を固定するだけでなく、おしゃれを楽しむためのアイテムとしての役割も兼ね備えています。
さまざまな素材や柄をバランスよく取り入れることで、着物全体の雰囲気も変わります。
取り入れる素材によって、可愛らしさや落ち着いた着こなしなどを表現できる帯締めは、着物のコーディネートの重要な役割をしているのです。
帯締めの歴史
帯締めの歴史は古く、奈良時代に中国や朝鮮から日本に伝わったと言われています。
江戸時代になると歌舞伎役者の着物の着崩れを防ぐために、帯の上に紐を締めるようになります。
当時は「丸ぐけ」といって、丸く巻いた布に綿を詰め縫い合わせて棒状にしたものが使用されていました。
着物の帯を締める役割以外にも、羽織の紐や袋物の紐などに使用されていき、一般庶民にも普及したといわれています。
明治時代になると、廃刀令により日本刀の鞘に使われていた組紐の需要が減りました。次第に、組紐を着物の帯締めに使用するようになったのです。
その後、それまで使われていた丸ぐけの使用は減っていき、組紐の技法によって作られる帯締めが主流となり、現在まで受け継がれてきたと言われています。
帯締めの種類
帯留めの種類は丸くげと組紐の二種類に分けられます。
丸ぐけは、丸く巻いた布に綿を詰め縫い合わせて棒状にしたものです。
組紐は、希望の結び方に合わせて組み台という道具を使い作られます。
糸と糸を組み合わせて作る組紐は、糸の組み方によっていろいろな名称があります。
ここでは基本的な三種類の結び方を見ていきましょう。
平組紐(平打ち)
帯締めの定番と言われているのが平組紐です。
平らに組まれた帯締めの幅は厚みがあり、安定感があるので締めやすいのが特徴です。
平組紐の代表的な帯締めは高麗組(こうらいぐみ)です。
組目が細かく良質な糸を使用して編まれているので、とても上品な雰囲気の帯締めですよ。
黒留袖などのフォーマルな席で着用する着物に合わせると良いでしょう。
そのほか、唐組(からぐみ)、綾竹組(あやたけぐみ)、笹波組(ささなみぐみ)なども有名です。
それぞれ模様や素材が異なるので、シーンに合わせて選びましょう。
丸組紐(丸打ち)
丸組紐は丸く組まれた帯締めで、初心者にも結びやすいのが特徴です。
扱いやすい帯締めですが、断面が円形であることから緩みが生じる場合があります。
そのため、着付けの際は緩みに注意しながらしっかり結ぶと良いでしょう。
丸組紐は成人式などの華やかな着物に合わせることが多く、可愛らしい華やかなデザインが人気です。
着物を着ていく場所によって、大きさや太さを使い分けることでカジュアルにもよそ行きにも使用できる帯締めなので、上手に使い分けると良いでしょう。
四つ組や八つ組、江戸組などが代表的な帯締めになります。
角組紐(角打ち)
角組紐は、角がとれた四角のような形が特徴です。
締め心地もよく、収縮性がある定番の帯締めですが、四角い作りのため初心者には結びにくいと感じるかもしれません。
角組紐の代表的な帯締めは冠組(ゆるぎぐみ)です。
厚みと弾力性、伸縮性があり、締め心地が良いと人気です。
無地のほかにグラデーションに染められたものまでさまざまな色合いのものがありますが、金糸が入っているものを選ぶことで訪問着にも使えますよ。
帯締めのTPO
帯締めにも格が決まっていることをご存じでしょうか。
着用シーンに合わせて、着物の種類とともに、使い分けることが大切です。
礼装やカジュアルといったシーン別に使用できる帯締めをみていきましょう。
帯締めの格
格の高い順に平うち・丸うち・角打ちとなります。それぞれ詳しく解説していきます。
平組
最も格が高いといわれてる帯締めです。
帯締めの幅の広いものは、未婚や既婚者の第一礼装に使用できます。
訪問着や留袖、振袖などの使用が一般的でしょう。
カジュアル用や夏の季節には幅の狭い帯締めを使うと良いですよ。
また、パールや宝石をあしらった帯留を付けることで礼装用として使用することも可能です。
お洒落着用から礼装用まで、幅広く使えるのも平組紐の魅力です。
丸組
丸組は平組より格が一つ下の帯締めです。
黒紋付きの礼装に使われるほか、白や金糸が多く使われている華やかなタイプの帯締めは、訪問着や振袖にも使用できます。
普段着やカジュアル用には、シンプルな無地の帯締めを選ぶと良いでしょう。
角組
3種類の中で格が一番下になる組紐です。
紬や木綿などの普段着やカジュアルなお出かけに使用します。
普段着や訪問着などに、帯留めや三分紐を組み合わせて可愛らしくコーディネートを楽しむのも良いでしょう。
シーンに合わせて選ぶ
フォーマルとカジュアル、それぞれのシーン別の帯締めの選び方を見てみましょう。
フォーマルな帯締め
礼装用には白や金銀 、または白地に金銀が編みこまれた平組紐や冠組などが良く使われます。
結婚式などの準礼装には白や淡い色の組紐が良いでしょう。
平組紐の場合は、太い帯締めほどフォーマルな場での使用に適しています。
反対に細い帯締めは、カジュアルな場での使用が一般的なので使い分けると良いでしょう。
カジュアルな帯締め
礼装よりは細めの帯締めを使用するのが一般的です。
淡い色ややわらかい色の帯締めは、着物になじむのでに合わせやすいでしょう。
反対に着物全体のアクセントが欲しい場合や個性を出したい時などは、濃い色の帯締めで引き締めると良いですよ。
帯が無地などシンプルな場合は、帯締めを柄ものにすることで着物も引き立ちます。
また、丸くげの帯締めもカジュアルな着物におすすめです。
子供着物にも取り入れられることが多い丸くげの帯締めは、誰でも気軽にコーディネート楽しむことができますよ。
帯締めの結び方
帯締めにはさまざまな結び方があります。
ここでは基本の結び方と浴衣用の結び方を解説していきます。
基本の結び方
最もオーソドックスな結び方は以下の手順です。
- 左の紐を上にして、前でしっかり結ぶ
- 右の紐を、左の紐の上にして、もう一回結ぶ
- 左右の紐を、結び目の上に沿わせて脇まで送る
- 上から下へひっかけて房は上向きにする
華やかな四つ葉結び
華やかさを出したい場合は、帯締めの紐でモチーフを作ることも可能です。
- 左の紐を上にして、前でしっかり結ぶ
- リボン結びをする
- 上の紐を輪っかにして、結び目の上から下へくぐらせる
- 下の紐を輪っかにして、結び目の下から上へくぐらせる
- 好みの四つ葉の形に整える
※1分30秒位から、四つ葉結びが始まります
思いっきり個性的に
帯締めはフォーマルからカジュアルまで、着物小物の中でも個性を楽しめるアイテムの一つです。
リボンやレース、フリルなど個性的な素材を取り入れることで、オリジナルのコーディネートが出来上がります。
帯揚げや帯留めとともに、自分好みの帯回りの小物をチョイスして、思いっきりおしゃれを楽しみましょう。
帯締めに使えるもの
他にも帯締めに使える素材がたくさんありますよ。
こちらで紹介する素材はおもに半幅帯に使用可能です。お太鼓を結ぶ場合は使えないので注意してくださいね。
手軽に帯締めを楽しめる素材をみていきましょう。
リボン
手芸店で手に入るリボンやレースも帯締めになります。簡単に、おしゃれな帯回りに変身できるアイテムです。
一般的な帯締めよりもふんわりとした可愛らしい雰囲気になりますよ。
ただし、強度を確認してください。
強く引っ張ってもちぎれないなど、強度を確かめたうえで、丈夫な素材のリボンを取り入れましょう。
人と差を付けて、帯回りを可愛らしくしたい方におすすめです。
細いベルト
帯締めの代わりにベルトを取り入れてみるのも良いでしょう。
帯締めよりもしっかり固定されるので、緩みづらいメリットがあります。シーンに合わせて好みのバックルを取り入れることでインパクト抜群です。
ベルトを使用する際は、長さや穴の位置などを確認しながら上手に取り入れてくださいね。
誰ともかぶらない、個性的な帯締めを取り入れたい方にぴったりのアイテムですよ。
革ひも
革ひもを、帯締めとして取り入れる方法もおすすめです。
自宅に眠っているネックレスのパーツや箸置きなどがあれば、皮ひもを結び付けて使うこともできます。
身近にあるものを使えるので、簡単に取り入れられるお手軽さも嬉しいポイントですね。
人と差をつけてアンティークなコーディネートを楽しみたい方にぴったりです。
帯締めのコーディネートのヒント
どの素材も自由に組み合わせて使えることが帯締めの魅力のひとつです。
なりたい雰囲気をイメージしながら、好みの色や素材を取り入れると良いですよ。
ここでは帯締めのコーディネートのヒントを見ていきましょう。
帯に入ってる色から選ぶ
最も簡単に合わせやすい方法は、帯に入っている色を取り入れる方法です。
全体的に統一感ある上品な着こなしがしたい方におすすめです。
また、初心者の方や色合わせに迷った時なども合わせやすいですよ。
反対に帯締めをアクセントとして目立たせたい場合は、帯にない色を取り入れると良いでしょう。帯回りを華やかに引き立たせてくれます。
帯揚げ・帯留めと調和をはかる
帯揚げや帯留めとのバランスも大切です。
帯締めと帯揚げ、帯留めを同系色でまとめることですっきりとした印象になります。
反対に帯揚げを華やかにして、帯締めを着物と同系色にすることで全体の雰囲気を引き締める事ができますよ。
どの部分を強調するかによって、選択する素材や色味を変えてみると良いでしょう。
季節に合わせて選ぶ
単衣や薄物の着物には 透け感のあるレースタイプの帯締めがおすすめです。
夏着物に合わせる帯締めは、冠組や三分紐などの厚みのない細めのタイプを選びましょう。
季節感を演出してくれるレースタイプの帯締めは、夏の季節にぴったりですよ。
まとめ
着物を着るうえで、大切な役割をもつ帯締めについてご紹介してきました。
結び方や色、柄によって何通りもの組み合わせが楽しめる帯締めは、合わせる種類によって印象が変わります。
フォーマルとカジュアルの場を上手に使い分けて、自分らしい帯締めを取り入れながら着物のおしゃれを楽しみましょう。
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