故人の遺品の整理を行う際に着物が出てくることは、珍しいことではありません。
ひと昔前は嫁入り道具として着物を両親から誂えてもらって嫁ぐことが一般的だったからです。
しかし着物離れが進む現代では遺品整理で着物が出てきた場合、それをどのように処分すれば良いのか戸惑う人も多いでしょう。
そこで今回は遺品としての着物の処分方法を中心に、タイミングや注意点など詳しく解説していきます。
遺品整理のタイミング
遺品整理の一般的なタイミングはおよそ以下のとおりです。
- 四十九日の後
- 葬儀後
- 各種手続き後
上記のような親族の集まりやすいタイミングで遺品整理を行うことで、親族同士で遺品の処分方法についての意思統一することができます。
しかしこれはあくまでも一般的なもので、遺品整理のタイミングは次のようにさまざまです。
- 故人への思いが整理できるまで2~3年は遺品整理を行わない
- 故人の自宅が賃貸の場合は退去日までに遺品整理を行う
その他、故人が一軒家での一人暮らしで空き家になる場合、倒壊の恐れがあると「特定空家」の認定を受けることがあり、そうなると固定資産税が上がってしまいます。
遺品整理のタイミングは、親族と相談しながら適切なタイミングで行いましょう。
遺品整理の着物|8つの処分方法
以下、遺品の着物の処分方法とそれぞれの特徴をご紹介します。
形見として保管する
着物が好きな人は、故人の思い出の着物を形見として保管し着用するのも一案です。
しかしあまり着物に興味のない人は、たたみ方や虫干しなどのメンテナンス方法が分からず、保管が面倒くさく感じてしまうかもしれません。
故人の着物が大量にある場合は、保管スペースの確保や着物を収納するタンスの用意が必要になります。
人にゆずる
着物にあまり思い入れがないからといってすぐに処分してしまうのではなく、着物好きの知人や友人に譲って有効活用してもらう方法もあります。
処分する前に着物に興味のある知人や友人に着物を見てもらい、必要であれば引き取ってもらいましょう。
しかし、いくら着物好きの知人でもサイズや好み、保管スペースの関係もあるため、すべてをスッキリ処分することはまずできません。
残ったものは別の方法で処分する必要が出てきます。
ゴミとして廃棄する
遺族もそれほど着物に思い入れがなく、有効活用してもらえるような友人や知人もいない場合には、思い切ってゴミとして廃棄するのも一つの方法です。
着物の処分方法は各自治体により分別方法が異なるため、それぞれの自治体のルールに従って処分しましょう。
しかし、自分には価値のない着物でも高価なものが含まれている場合もあり、そのような場合には損をしてしまいます。
リメイクする
着物として使う予定はなくても故人の思い出の品を身近に置いておきたい場合には、リメイクがおすすめです。
シミや汚れの範囲が少なく状態の良い物なら、スカートやワンピースなどにリメイクできます。
汚れのある着物でも、汚れていない部分を使えばバッグや小物入れにもリメイクすることもできます。
手芸が得意なら自分で作るのも楽しいでしょう。
また、お金はかかりますがリフォーム業者へお願いしリメイクしてもらうこともできます。
リサイクルショップや古着屋に売る
リサイクルショップや古着屋に遺品の着物を持ち込むことで買取をしてもらう方法もあります。
シミや汚れのない着物や明らかに高級品だとわかる着物は、高値が付くこともあるでしょう。
しかしリサイクルショップや古着屋には、多くの場合着物の知識が豊富な査定スタッフが常駐していません。
着物の知識のあまりないスタッフが査定を行うことで高価な着物を安く買い叩かれてしまうこともあるので注意が必要です。
値段の付かなかった着物を無料で引き取ってもらえるかどうかは店舗により異なるため、事前に確認しておく必要があります。
遺品整理の専門業者に依頼する
ひと昔前までは遺品整理は遺族が行うものでしたが、現在では遺品整理専門の業者が代行するケースも増えてきています。
特に遺品整理が必要な場所が遠く離れている場合などに便利です。
遺品整理士という資格を持つスタッフが以下のような作業をまとめて行ってくれます。
- 必要品と不要品の仕分け
- 不用品の処分
- 家財の搬出
- 清掃
しかし、着物の知識が豊富なスタッフがいないとたとえ価値の高い着物であっても適正な価格が付かないことがあるため注意が必要です。
メルカリなどのフリマアプリで売る
最近では、メルカリなどのフリマアプリで品物を売り買いする人が増えています。
スマホの操作などに詳しければ、スキマ時間を見つけて自宅にいながら遺品の着物を売ることができます。
しかし、スマホの操作に自信がない人や、着物が大量にある場合には出品に大変時間がかかり面倒に感じる人もいるかもしれません。
出品しても購入者が現れるまでは処分することができないため、今すぐに処分したいという人には不向きでしょう。
着物買取業者に依頼する
遺品整理で出た着物の処分は着物買取業者に依頼するのが一番のおすすめです。
着物買取業者なら着物の専門スタッフが、一枚一枚丁寧に査定し適正な買取額を付けてくれるので安心です。
ただ、遺品整理で出る品物はもちろん着物だけではありません。
買取業者を選ぶ際は、幅広いジャンルの品物の査定を行っている業者や、遺品整理のコースなどのサービスのある業者を選びましょう。
高く売れる着物ってどんなもの?
さまざまある着物の中でも、次に挙げる着物は高額査定の対象になります。
サイズの大きいもの
サイズの大きい着物は小さい着物よりも高く売れます。
大きい着物は長さを調節することで大柄な人から小柄な人まで多くの人が着用できるからです。
また、大きいサイズの着物は自分のサイズに合わせて仕立て直しをすることも可能です。
一方、小さい着物は長身の人には丈が足りず着ることができません。
限られた人しか着られない着物よりも、多くの人が着れる着物のほうが買取額も高価です。
正絹(しょうけん)の着物や帯
着物に使われている素材が、絹100%の正絹の場合は高値が付きます。
正絹の着物は、他の麻や綿、ポリエステルなどで作られた着物と比べて次のような優れた特徴を持っています。
- なめらか
- 上品な光沢感がある
- 着心地が良い
- 着崩れしづらい
高級感があり着心地の良い正絹の着物は人気も高く買取額も高額です。
証紙や落款のあるもの
証紙や落款のある着物も高額買取の目安になります。
証紙とは以下のような品質の高い着物に付けられる「着物の保証書」です。
- 伝統的工芸品
- 有名産地で作られたもの
証紙には、産地・製法・製造元・素材などさまざまな情報が記載されています。
買取業者もこれを見ることで一目瞭然に品質を確かめることができます。
また、人間国宝などの有名作家が手掛けた着物には落款という作者の印があり、これも高値のポイントです。
落款は、着物の衿先か衽(おくみ)裏にあるので確認してみましょう。
シミや汚れのないもの
買い取られた着物は、シミや汚れ、臭いなどに応じて適切なクリーニングを行い再販されます。
状態がキレイであれば、クリーニングにかかる費用も安く済むため、業者側も高値で買い取ることができます。
小物とセットのもの
着物の他に帯や帯揚げ、帯締めなどの小物がある場合はセットで売ると高値が付きます。
着物の帯合わせは意外と難しいため、初めからその着物に合った帯がセットで付いていれば買い手側も嬉しいからです。
セットものは着物単品よりも需要があるため高額買取が狙えるでしょう。
知っておこう!遺品整理の注意点
遺品整理は一般的な着物の買取と少し異なり、いくつか注意しなければいけないことが出てきます。
以下を参考に、トラブルなく遺品整理を行いましょう。
遺言書がないか確認する
着物の処分をどうするか決める前に、まずは遺言書を確認しましょう。
遺言書は故人が自分の資産の配分をどのように行うかが書かれている文書です。
この遺言書に着物についての記載がある場合には、その遺言に従って処理を進める必要があります。
「この着物を○○に譲る」などと明示されている場合には、対象となる人物に連絡し故人の遺志を伝えましょう。
親族や身内と話し合って処分する
着物に対しての思い入れや処分方法は親族同士でも異なります。
処分方法を独断で決めてしまう前に、以下のようなことを話し合い親族合意のもとで処分を行いましょう。
- 着物を形見として欲しい人はいないか
- ゴミとして処分することに異議がないか
- 買取で高値が付いた場合はどのように処理するか
親族同士の話し合いは今後のトラブルを避けるためにも大切なことです。
葬儀や四十九日など親族の集まるタイミングで着物の処分方法についてしっかりと話し合いましょう。
高額な着物には税金がかかることも
買取業者に査定を依頼した結果、高値が付いた場合には相続税がかかることもあります。
一点の着物の買取額が4~5万円以上になった場合には、税理士さんなどに相談し指示をあおぎましょう。
まとめ:遺品整理は着物買取業者がおすすめ
遺品整理で出てきた着物の処分はさまざまありますが、着物買取業者に買い取りを依頼するのが一番のおすすめです。
さらに大手の買取業者なら遺品整理対象とする便利なサービスも行っているかもしれません。
遺言書を確認し、親族同士で話し合った結果、着物の処分を行う場合にはぜひ大手の買取業者に依頼しましょう。
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