牛首紬は、日本の三大紬にも数えられる有名な紬です。
人気が高い上に生産反数が少ないので、あまり市場には出回らない大変希少価値の高い着物です。
有名産地の紬なので、着物好きなら一度は耳にしたこともあるかもしれませんが
「牛首紬の実際の買取相場ってどのくらいなの?」
「そもそも牛首紬ってどんな着物なの?」
「他の産地の紬とどう違うの?」
など、詳しいことまで分からないという人も多いのではないでしょうか?
そこで、今回の記事では牛首紬の買取価格の相場と買取に関連する情報について詳しく紹介していきます。
目次
おすすめの買取業者
順位 | 業者名 | 説明 |
---|---|---|
1位 |
バイセル |
バイセル 重点対応地域:全国 形式:出張・宅配・店舗 |
2位 |
福ちゃん |
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買取の比較調査情報
牛首紬の買取相場
画像引用元:白山市公式観光サイト
日本三大紬の一つにも数えられる牛首紬は、買取時一体どのくらいの価格が付くのでしょうか?
牛首紬の買取相場はいくら?
牛首紬の買取相場は、数千円~100,000円程です。
買取相場にかなりの幅がありますが、この価格の差は主に以下の理由によるものです。
- 手織りなのか、機械織りなのか
- 後染めなのか、先染めなのか
牛首紬は、高機(たかはた)で手織りされるものと、玉糸機(たまいとばた)という機械で織られるものがあります。
どちらも同じ原料の糸を使うのですが、手織りは手間がかかり、高度な職人の技術も必要なので、買取相場は機械織りよりも高くなります。
また、「紬」という名の付く織物はほとんどが先染めの着物ですが、紬織物でありながら後染め用の白生地も生産されるのが牛首紬の大きな特徴です。
白生地はそれぞれ染めものの産地に渡り、染色され訪問着などの格の高い着物にもなります。
加賀や京都など有名産地で友禅染された牛首紬は大変めずらしく、100,000円以上の価格が付くこともあります。
買取相場の目安 | |
---|---|
牛首紬全般 | 数千円~100,000円程 |
先染め、手織りの牛首紬 | ~50,000円 |
機械織りの牛首紬 | ~18,000円 |
後染めの牛首紬 | ~200,000円 |
【注意】保存状態や種類によって価格は変動する
実際の買取価格は、保存状態・作家・産地などによって変動します。保存状態の良い手織りの牛首紬には100,000円ほどの価格が付くこともあれば、汚れの目立つ古い牛首紬にはたった数百円ということも。
あなたの牛首紬が実際にいくらになるのかは査定に出してみないとわかりません。まずは無料査定に出してみることをおすすめします。
牛首紬が高価買取できる理由
牛首紬が高価買取できる理由はどこにあるのでしょうか?
その主な理由は以下のとおりです。
- 全国的にも知名度が高い
- 生地の品質の良さ
- 生産量が少なく希少性が高い
以下、それぞれの理由を少し詳しく見ていきます。
全国的にも知名度が高い
牛首紬は、大島紬、結城紬と並ぶ日本三大紬として全国的にも知られている有名ブランドです。
国の伝統的工芸品にも指定されているため、着物愛好家からの人気も絶大です。
知名度、また人気の高さが、高価買取のポイントの一つになっています。
風合いの良さ
牛首紬が持つ風合いの良さも、高額買取のポイントです。
牛首紬が持つ高級感とあたたかみを持ち合わせた独特の風合いは、原料の玉糸が作り出します。
後にも原料については詳しく触れますが、牛首紬は玉糸という糸を使って織られます。
玉糸は、二匹の蚕が同時に糸を吐き出して一つの繭を作る玉繭から引き出される糸のことで、生糸よりも太く伸縮性に富んでいます。
玉糸はところどころに節があり、これが織り上がりの味を生み出すのです。
経糸に生糸、緯糸に玉糸を使い織られる牛首紬の生地は、地厚感があり丈夫でありながら柔らかくシワになりにくいという非常に優れた特性を持っています。
この品質の良さが、高額買取に直結するのです。
生産数が少なく希少価値が高い
牛首紬は、糸づくりから完成までほとんどの工程を手作業で行うため、大変な労力がかかります。
原料となる玉糸作りは、特に手間がかかり、一反分の玉糸を作るのに、熟練の職人3人がかりでも3日はかかります。
また手織りの牛首紬は、織り手が一日6時間かけても30cm程しか織ることができません。
現在牛首紬を作る織元は2軒のみとなっており、生産反数も限定されています。
そのため、有名でありながら市場に出回る数が少なく、幻の着物といわれるほど入手困難で、そのため大変希少価値が高いのです。
市場に出回る数が少ない上、手に入れたい人も多いため買取金額も必然的に高くなっています。
実際に買取を行った人の口コミ
実際に買取を行った人の口コミを見てみましょう。
牛首紬を売るならバイセルがおすすめ
注力対応エリア | 全国 |
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買取形式 |
|
注力取扱商品 | 振袖、紬、留袖、友禅、訪問着、付け下げ、上布、沖縄着物、男性着物、反物、和装小物、和装上着、小紋、色無地、アンティーク着物、袋帯、丸帯、半幅帯、名古屋帯、作家着物 |
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買取の比較調査情報
そもそも牛首紬とは?
白峰地区は、日本有数の豪雪地帯として知られていて、古くから雪で閉ざされる冬の季節の収入源として、養蚕が盛んに行われてきました。
生産される繭の中には、二頭の蚕が作った売り物にならない「玉繭」が2~3%生まれます。
これを使って手で糸を引き、自家用の着物を作ったのが牛首紬の始まりです。
以来、古くから受け継がれてきた伝統技術を今に守り伝えています。
絹の持つ高級感のある光沢とやさしい風合いを兼ね備えた牛首紬は、日本を代表する紬織物です。
牛首紬は、釘が抜けるほど丈夫な生地であることから、別名「釘抜き紬」とも言われています。
牛首紬は、1955年に国の伝統的工芸品、1979年に石川県の無形文化財に指定されました。
高値の秘密は牛首紬の製法にある
画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合
牛首紬の買取相場の高さは、牛首紬独特の製法に理由があります。
玉繭から手作業で作られる【玉糸】
画像引用元:角印・牛首紬公式HP
牛首紬の一番の特徴は、玉繭から手作業で糸を引き出すことで作られる玉糸を原料として使うことです。
玉繭とは、二頭の蚕が同時に糸を吐き出して作る一つの繭のことです。
上の写真を見ると、一頭の繭が作る通常の繭(写真の上半分)と比べて一回り大きく、いびつな形をしているのが分かります(写真の下半分)。
この玉繭は、全体の2~3%の割合で突然変異でできる貴重な繭です。
二頭の蚕が吐き出した二本の糸は複雑に絡まっていて、それを一本の糸にするには、高度な職人の技が必要です。
一本の糸は60個の繭玉から作られ、出来上がった糸は生糸よりも太く、ところどころに節ができます。
こうしてできた玉糸を緯糸に、経糸には生糸を使うことで、絹の光沢感と紬のあたたかい風合いを生み出します。
この手間のかかる玉糸づくりが買取相場を高額にする一つの要素なのです。
紬には珍しい【後染めがある】
画像引用元:加藤手織牛首つむぎ
紬といえば、生地を織る前に糸を染色する先染めが一般的ですが、牛首紬は先染めの他に、後染め用の白生地も生産しているのも大きな特徴の一つです。
先染めの牛首紬
画像引用元:角印・牛首紬公式HP
先染めの牛首紬は、無地や縞模様などさまざまですが、その中でもカツオ縞は先染めの牛首紬の代表的な柄です。
藍染めで濃淡を付けた糸で織られる縞模様は、丁度カツオの体が背中から腹にかけて段々と薄くなっていく様子と似ています。
先染めに使用される染料は、藍ばかりではなく「ひとつの草からいろいろな色が染められる」と言われる、くろゆりの花びらからも抽出されます。
その他、化学染料も取り入れながらさまざまな色に染められるのが特徴です。
後染めの牛首紬
白生地として織られた牛久紬の反物に、後から染色を施す後染めの牛首紬も作られています。
ほとんどの紬が先染めである中、後染め用の白生地が織られるのは紬としては珍しいことです。
加賀友禅や京友禅などの染が施された、訪問着などは着物としての格も上がり、買取価格も高くなります。
織りは【高機による手作業】中心
画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合
牛久紬のほどんとは、高機という機り機を使って手作業で作られています。
先ほども説明しましたが、手織りでは一日30Cmほどしか織り進めることができません。
近年までこの手織りのみで生産が行われていましたが、平成25年から、玉糸機(たまいとばた)を使った機械織りの牛首紬も作られるようになりました。
この玉糸機は従来の高機での手織りの特徴を最大限に再現し、かつ効率化したものです。
緯糸の打ち込みのタイミングや力加減に熟練の技が必要な手織りは、職人によって品質にもばらつきが生まれます。
玉糸機で織ることで、品質を安定させこうした課題を解決しているのです。
玉糸機で機械織りされた牛首紬は、手織りのものと比べて買取価格はいくぶん低くなります。
しかし、機械織りでも伝統的工芸品であることには変わりないので、他の着物と比べるとそもそもの買取価格は高額です。
牛首紬の織元はわずか2軒
加藤手織牛首つむぎ(旧:加藤機業場)
画像引用元:白山市公式観光サイト
加藤手織牛首つむぎは、伝統的技法である手織り100%にこだわる織元です。
また生産する生地は、すべて後染め用の白生地です。
すべての製品が手織りなので、月に数十反しか作られません。
市場に出回る数もないため価値が高く、しかも、友禅染されて格の高い訪問着にもなるため、その価値はさらに上がります。
白生地は、柄合わせなどがないので、緯糸を強く打ち込むことがで、密度が高くより丈夫な生地に仕上がります。
白山工房
画像引用元:白山市公式観光サイト
白山工房では、白生地の他に先染めの牛首紬も作っています。
長い間手織り生産を守ってきましたが、平成25年からは手織りの他、玉糸機と呼ばれる織機での生産も行っているのが特色です。
機械織りは、手織りに比べ、職人のスキルによる品質のバラつきを安定させることができます。
白山工房では、牛首紬の他に夏用の夏牛首の販売も行っています。
また、積極的に洋服のアパレル業界ともコラボを行ったり、海外にもその魅力を発信している、革新的な企業です。
牛首紬の証紙は4種類
画像引用元:忠右衛門本店
伝統的工芸品指定の牛首紬の反物には、以下の4種類の証紙が全て貼られます。
- 検査合格証
- 牛首紬保証書
- 伝統証紙
- 各織元のラベル
この他、石川県牛首紬生産振興協同組合の検査に合格したことを証明する印が反物の端に直接押されます。
以下、証紙と合格印についてひとつずつ詳しく解説していきましょう。
牛首紬の証紙1:検査合格証
検査合格証
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
反物に直接押される合格印の他に、検査合格証も反物に貼り付けられます。
これは、石川県牛首紬生産振興協同組合の基準に基づいて検査された確かな品質の牛首紬であることの証明です。
牛首紬の証紙2:牛首紬保証書
牛首紬保証書(~2014年2月末)
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
検査後貼り付けられる牛首紬保証書を見ることで、手織りなのか機械織りなのかを見分けることができます。
手織りの保証書
高機で織られた手織りの牛首紬の保証書の本文には以下の説明書きがあります(上写真)。
「本品は石川県無形文化財技術により製造された手織りによる逸品で、織端に右の製造元マークが表示された品は当組合が責任をもって品質保証致します」。
ちなみに、石川県無形文化財に指定されてる牛首紬の定義とは以下の技法です。
- 緯糸はすべて玉繭から直かに挽いた玉糸を用いること
- 高機によること
この証紙が貼られているものは、石川県が認定した無形文化財の技術に順じて作られた手織りの牛首紬の証です。
上の写真の保証書は2014年2月末までのもので、上の条件を満たしたすべての牛首紬に貼られていました。
従来は牛首紬の織元2社共通の保証書でしたが、2013年に白山工房で機械織りが始まったことから以下のように保証書が各社別々になりました。
旧:加藤機業場の手織り保証書(2014年3月1日~2020年1月31日)
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
上の写真は、2014年3月1日~2020年1月31日に使用されていた保証書です。
保証書の書式が変更になった2014年3月1日から、社名が変更になる2020年1月31日まで使われていました。
現在の加藤手織牛首つむぎの手織り保証書(2020年2月1日~)
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
上の写真の保証書は、「加藤手織牛首つむぎ」へと社名変更した2020年2月1日以降に貼られている保証書です。
白山工房の手織り保証書(2014年3月1日~)
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
2014年3月1日以降、白山工房の手織り牛首紬には、上の写真と同じ書式の保証書が貼り付けられます。
玉糸機による機械織りの保証書
白山工房機械織りの保証書(2014年3月1日~)
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
上の写真は、玉糸機によって機械織りされた牛首紬の保証書です。
機械織りなので「手織り」の記載はありません。
さらに、石川県無形文化財認定の技術である「高機」からも外れます。
こうした点では、手織りの牛首紬よりも少しランクが下がることになるため、手織りの牛首紬よりは買取額も低くなるでしょう。
しかし機械織りでも伝統的工芸品であることに違いないため、他の着物と比べると買取価格は高額です。
牛首紬の保証書の書式が変わったことで、どの年代に作られた牛首紬かを知ることができます。
保証書のフォーマットが新しいものは生産されてから年数が経っていないもなので、汚れ、シミなどのリスクが抑えられるため、買取時高値が期待できでしょう。
牛首紬の証紙3:織元のラベル
何枚か並んでいる証紙の中央部分には、それぞれの織元のラベルが貼られています。
加藤手織牛首つむぎ(旧:加藤機業場)の織元ラベル
旧:加藤機業場の時代のラベル
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
上の写真は、現在の加藤手織牛首つむぎに社名が変更になる2014年2月末までのラベルです。
現在の加藤手織牛首つむぎのラベル
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
社名が変更になったことで、2014年3月1日からラベルも変更になっています。
白黒のラベルからカラーのラベルへと変わり、ラベル左下の製造者の記載が、社名変更前の加藤機業場から加藤手織牛首つむぎに変わっています。
白山工房の織元ラベル
白山工房【手織り】牛首紬のラベル
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
上の写真は、白山工房で作られた手織りの牛首紬に貼られる織元ラベルです。
白山工房【機械織り】牛首紬のラベル
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
玉糸機で織られた機械織りの牛首紬には上の写真のようなラベルが付きます。
牛首紬の文字の上に手挽き糸の文字があるのが目印です。
牛首紬の証紙4:伝統証紙
牛首紬に貼られる伝統証紙
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
組合の検査に合格した牛首紬には、国の伝統的工芸品であることを証明する、伝統証紙が貼られます(上写真)。
この伝統証紙は、手織り以外の玉糸機で作られる牛首紬にも貼り付けられます。
牛首紬の反物に押される合格印
石川県牛首紬生産振興協同組合の合格印
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
牛首紬は、石川県牛首紬生産振興協同組合により、牛首紬織物検査規則に基づいた品質検査が行われます。
検査に合格した牛首紬の反物には、上の写真のような印が直接押されます。
金沢織物検査所の合格印
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
また、品質の検査は外部委託された金沢織物検査所でも行われます。
対象となるのは、同組合で検査されたうち、ランダムに抜き取られた10%のみです。
この検査に合格した反物には、上の写真のような金沢織物検査所の合格印がさらに押されます。
伝統的工芸品以外の認定織物の証紙
夏牛首紬の証紙
(画像引用元:石川県牛首紬生産振興協同組合)
夏牛首紬は伝統的工芸品ではなく、正式には牛首紬ではありません。
認定織物となり、上の写真のような証紙が貼り付けられます。
夏牛首紬は、すべて玉糸機により織られるので、織元ラベルには「手挽き糸」の文字があります。
また、夏牛首には伝統証紙が貼られません。
夏牛首の生地の緯糸には玉糸だけでなく生糸も使われています。
牛首紬の伝統的工芸品の認定条件である「緯糸に使用する糸はすべて座繰りによる玉糸とすること」という条件に当てはまらないからです。
しかし、もともと生産数の少ない牛首紬の中で、着用が特に夏だけに限定される夏牛首紬は、もっと生産数が少ないのです。
稀少性が高いので買取価格が高くなることもあります。
証紙がない場合の牛首紬の見分け方
画像引用元:忠右衛門本店
牛首紬の反物の端や新しく仕立てた牛久紬には、必ず証紙が付いています。
しかし、リサイクルショップなどで購入した牛首紬には、証紙が付いていない場合もあるでしょう。
そのような場合は、以下の方法である程度見分けることができます。
- 着物の衿先に織元の印があるかどうかを見てみる
- 反物の端に牛首紬検査合格の印があるかどうかを確認する
- 生地にところどころ節がある
織元の印がある場合には、証紙がなくても牛首紬であることを判断することができます。
組合の合格印が反物の端などに押してある場合も、牛首紬であることが判別可能です。
しかし、生地の風合いだけで牛首紬かどうかを判断することは、着物についての豊富な知識と査定の経験がない素人には分かりにくいでしょう。
そもそも価値が高い牛首紬には、ほとんどの場合証紙が付いてきますので、買取時の価格を安定させるためにも大切に保管することをおすすめします。
牛首紬のQ&A
牛首紬に関するよくある質問をQ&A方式でまとめてみました。
Q.牛首紬と白山紬の違いって何?
A.牛首紬は絹100%白山紬は人口の糸を原料としているところです。
白山紬は、牛首紬とよく似た風合いの着物ですが、原料はまったくの別物です。
牛首紬の原料は生糸または玉糸を100%使用しているのに対し、白山紬はスラブヤーンという人工の糸が使われています。
この人工の糸は、玉糸に似せてところどころに太い部分があるのが特徴です。
両者はよく似た風合いですが、比べてみると以下の違いがあります。
- 牛首紬:生地に厚みがあり、かつ柔らかい
- 白山紬:生地がすこしペラペラしていて、かたい生地
白山紬は、元値も安価で高価な牛首紬とは異なる織物です。
Q.牛首紬の機械織りの着物は買取額も安いの?
A.機械織りであっても立派な伝統的工芸品なので買取価格は高額です。
牛久紬の機械織りに使われる玉糸機は、手織りで織られる牛首紬の風合いを損なわないように開発された織機です。
牛首紬の場合、国の伝統的工芸品であることの認定条件として一番重きを置いている部分が、玉繭から手で糸を引く糸づくりにあります。
そのため、機械織りか手織かどうかは20もの工程のうちの一つにすぎないという考え方から、立派な伝統的工芸品とされているので買取額はどちらも高額です。
とはいえ、手織りの牛首紬はやはり職人が時間をかけて丁寧に織られるため、玉糸機で織られたものよりは高額になります。
Q.日本三大紬は大島紬、結城紬…そして、牛首紬?
A.大島紬、結城紬に並ぶ第三の紬として、上田紬や塩沢紬が挙げられることもあります。
大島紬、結城紬の2つの紬は、いわずと知れた日本の紬不動のトップ2です。
牛首紬もそれに並ぶ日本三大紬のひとつに数えられています。
しかし、全国には人気の紬が他にもいくつかあり、第三の紬として以下の産地の紬が挙げられることもあります。
- 長野県の上田紬
- 新潟県の塩沢紬
大島紬、結城紬、牛首紬の風合いの違いを以下見比べてみましょう。
大島紬 | 経糸、緯糸に生糸を使用、絹本来の光沢感がある |
---|---|
結城紬 | 経糸、緯糸に真綿の手つむぎ糸を使用、節があり素朴な風合い |
牛首紬 | 経糸に生糸、緯糸に玉糸を使用、光沢がありかつあたたかい風合い |
それぞれ、独特の風合いを持っており、着物愛好家の中でも好みが分かれます。
牛首紬は、大島紬、結城紬に比べて明らかに生産量が少ない幻の着物なので、買取価格も二大紬に決して引けを取りません。
Q.機械織りの牛首紬にも伝統マークが貼られるのはなぜ?
A.機械織りであっても国の伝統的工芸品の認定条件を満たしているからです。
伝統的工芸品に指定されている染織物は、それぞれの産地ごとに細かく認定条件が決められています。
牛首紬の指定条件は以下のとおりです。
技術・技法
- 先練りまたは先染めの平織りとすること
- 経糸に使用する糸は生糸とし、緯糸に使用する糸はすべて「座繰り」による玉糸とすること
- 緯糸の打ち込みには、「手投杼」または「引杼」を用いること
原材料
使用する糸は、生糸又は玉糸とすること。
機械織りであっても、牛首紬の織りで使われる玉糸機は、認定条件3番目の「引杼」を用いています。
したがって、伝統的工芸品の認定条件にあてはまるため、伝統証紙が貼られるのです。
牛首紬をより高く売るコツ
そもそも着物としての価値の高い結城紬は、高額買取が期待できます。
ここからは、そんな結城紬をより高く売るためのポイントを紹介します。
複数の買取業者に【相見積もり】
「相見積もり」とは、買取時に複数の業者に見積もりを依頼することです。
各社の見積額を比べることができ、一番高値の付いた業者に売れます。
着物の買取額には、明確な決まりはありません。
同じ保存状態、製法の牛首紬でも見積もり額は各社異なります。
売ってしまってから「あっちの業者の方が高く買い取ってもらえたかも…」と後悔しても取り返しがつきません。
あらかじめ、何社かに見積もりを取り、少しでも高値で買い取ってくれる業者と取引を行いましょう。
牛首紬の価値が分かる買取業者へ
牛首紬の買取を依頼する場合には、その価値をしっかりと判断できる業者へ査定を依頼しましょう。
おすすめはバイセルなどの大手総合買取業者です。
リサイクルショップやフリマアプリなどは、十分な着物の知識がない人同士が売買を行ってしまう危険性があるので、避けたほうが無難です。
価値のある牛首紬を適正な価格で売るためにも、着物の専門的な知識を持つ買取業者に査定を依頼しましょう。
査定時には証紙を提示
査定時には必ず証紙を提示しましょう。
証紙は、牛首紬の品質をしっかりと保証してくれるいわば「本物の証」です。
証紙があることで買取価格も高値で安定し、売り手側も安心して取引することができます。
品質の高い牛首紬には、購入時必ず証紙が付けられています。
買取するときのことを考えて、大切に保管しておきましょう。
定期的なお手入れ
着用する度、あるいは年に数回、定期的なお手入れを行いましょう。
きれいな状態をキープすることで、買取時の印象が良くなり買取額もUPします。
いつも気持ちよく着れることとももちろん、買取のためにも日頃から以下のお手入れをしておくことが大切です。
- 着用後はハンガーにかけて、直射日光の当たらない風通しの良いところで2時間ほど干す
- シミや汗、ホコリなどがないか全体をチェックする
- ホコリは柔らかいブラシで払う
- シミがある場合は早めに着物専門のクリーニング店に相談する
- 衿、袖口などに付いた皮脂汚れは、ベンジンを少量付けたガーゼで軽くたたく
- 湿気を避け、一枚ずつたとう紙に包んで保管する
- 年に2回程、虫干しをする
忙しく定期的な虫干しが難しい場合には、湿気のない季節にタンスの引き出しを一定時間開け、空気を入れ替えましょう。
できるだけ早く売る
絹の着物はデリケートな衣類です。
たとえここ数年着ていなくても、長い間仕舞いっぱなしにしていると、シミができたり虫食いができたりすることは多々あります。
したがって、もう着る機会がないならば、状態が良いうちに早めに買取に出した方が高値が付くでしょう。
牛首紬の特徴
牛首紬ならではの特徴が生み出される秘密は世界的にも例が少ない糸取り方法にありました。
柔らかく耐久性抜群
牛首紬はもともと家庭用に織られていた紬で、丈夫さには定評がありました。
釘に引っ掛かっても破れないほど強いという意味で、「釘抜き紬」の異名を持つほど頑丈であると言われています。
頑丈なだけでは生地質はゴワゴワと、肌馴染みの良いものではないのではないかという印象を持つかもしれません。
しかし、牛首紬の凄いところは、頑丈でありながら綸子のような柔らかさを兼ね揃えている点にあります。
頑丈でありながら柔らかくしなやかな生地が作られる理由は、牛首紬ならではの独自の糸作りにありました。
双子蚕の繭から生まれる糸
紬全般において、繭を真綿にしてから紬糸を紡ぐのが基本なのですが、牛首紬は異なります。
伝統技法の「のべびき」という糸取り技法を用い、弾力性や伸張性に優れた糸を生み出すのです。
牛首紬では、本来くず繭として処分される、2匹以上の蚕が作った1つの繭(玉繭)を用いて糸(玉糸)を作ります。
玉繭は2匹以上の蚕が作っているため、繊維が複雑に絡み合い、節も多いのが特徴です。
均一な糸を引き出すのが大変難しいので、真綿から紬糸を紡ぐ従来の方法ではなく、玉繭を煮込んで手作業で糸を紡ぎだす「のべびき」という独自の技法で玉糸を紡ぎだします。
「のべびき」された糸は、乾燥させずにそのまま撚りをかけます。
精錬した後、糸を何度もはたいて糸に空気を含ませる「糸はたき」という牛首紬ならではの工程があります。
「糸はたき」の工程を経ることにより、蚕の糸の本質を甦らせ、頑丈でありながら柔らかな牛首紬特有の質感を生み出すことができるのです。
800年以上の伝統を誇る牛首紬の歴史
牛首紬の歴史は意外と長いです。
山村文化の中で育まれた牛首紬ですが、日本全体が戦後の不景気に包まれた時には廃業に追い込まれました。
牛首紬の誕生と発展
もともと石川県の白山市一帯は養蚕業で有名なところでした。
白山の地で織物業が発展したのは、今を遡ること860年以上前の平治の乱がきっかけだったと伝えられています。
平治の乱で現白山市周辺に流れついてきた源氏の落人の妻や女人たちは大変優れた織技術を持っていたのです。
優れた技術をを当時白山市周辺に住んでいた人々に伝えたことで、白山の地でも織物業が発展していきました。
伝えられた技術を元に白山の自然豊かな地で育まれ、発展させた技術は、牛首紬を生み出す原点となり、江戸末期の紬流行に牛首紬も乗っかり、全国的にその名を知らしめたのです。
牛首紬の衰退と再興
江戸時代の成功で勢いに乗った牛首紬でしたが、順風満帆にはいきませんでした。
二度の世界大戦などを経て、白山市の養蚕事業と紬作りにも陰りが見え始めます。
1950年代から1960年代にかけて、牛首紬はほとんど作られず、産地は約9割が潰れかかっていました。
牛首紬が永遠に失われることを懸念した白山市の人々は、今一度養蚕業を奨励し、まず養蚕業の立て直しを図ることにしたのです。
養蚕業を盛んにしていく過程で牛首紬も再び細々作られ始めましたが、まだ確固たる販路が見出せず困っていました。
時を同じくして、同じ石川県の伝統的な染め技法である加賀友禅と牛首紬とのコラボがありました。
加賀友禅と牛首紬の融合という、まったく新しいスタイルは、新たな牛首紬の形を作り出したのです。
加賀友禅といえば、高級な染めとしても知られています。
加賀友禅の染めを普段着である紬に用いることで紬の格が高まり、結果として牛首紬はよそゆき着としての地位も確保したのです。
既に知名度も高まっていた加賀友禅とのコラボを経て、牛首紬は再び全国で名を知られるようになったのでした。
牛首紬の染色技法
しかし牛首紬は、先に述べたように加賀友禅を用いた後染めものも多く作られています。
先染め
先染めとは、糸の段階で染め上げながら反物に織り上げていく方法です。
牛首紬の代表的な先染め方法には、藍染めとくろゆり染めがあります。
藍染めは、濃い色から薄い色へ段々に染める「カツオ縞」模様によく用いられる染色方法で、昔ながらの伝統的な先染め方法として用いられています。
くろゆり染めは、いわゆる草木染めの一種です。
くろゆりの花びらから色素を採り出すのですが、一色ではなく、ピンク、紫、黄色、緑など様々な色が採れることから、大変重宝されています。
特に、草木から採取される色で発色の良い緑色というものは滅多にないため、このくろゆり染めの緑色は大変貴重な色としても知られています。
ちなみに、くろゆり染めで染められる牛首紬は横段模様になることが多いです。
後染め
紬で後染めされるものは今でこそいろいろありますが、後染め紬の先駆けとなったのが牛首紬と加賀友禅のコラボだったのです。
染められていない真っ白な絹糸で織られた牛首紬の反物を、加賀友禅の染色方法で染め上げたものが後染めの牛首紬になります。
柄は一般的な縞模様ではなく、草花や時に動物なども描かれ、大変賑やかしいものが多いです。
一見すると加賀友禅の着物であり、紬とは気付かない人もいるぐらいです。
牛首紬は加賀友禅と組み合わせられることが多いですが、最近では京友禅などともコラボすることが増えました。
友禅染めと組み合わせられた牛首紬は、大変格調高い着物に仕上がるので、セミフォーマルな席でも十分通用します。
牛首紬の産地
牛首という名前もこの地から付けられました。
牛首紬は石川県白山市でのみ作られる紬
牛首紬は、石川県の白山山麓でのみ織られている紬です。
より正確にいうならば、石川県白山市の旧白峰村で織られています。
旧白峰村は、日本三名山に数えられる白山の登山口としても知られる場所に位置し、水や緑が大変豊かな山里として知られています。
自然豊かな中で作られ続けているということもあり、草木染めとの相性も抜群なのです。
「牛首」という名の由来
牛首紬は、「牛首」という独特の名前にインパクトがありますよね。
なぜ「牛首」と呼ばれるようになったのか、気になるという人も多いでしょう。
717年、泰澄大師が白山を開山した際に、山の守り神として牛頭天王(ごすてんのう)と十二神将を祀つりました。
この「牛頭」が語源となり、旧白峰村一帯は「牛首」と呼ばれるようになったのです。
すでに白山紬という紬は存在していたこともあり、牛首一帯で作られる紬は、地名をとって牛首紬と呼ばれるようになりました。
明治中期にはこの一帯は「牛首」と呼ばれなくなり、白峰村と呼ばれるようになりましたが、紬名は変更されることなく現在も牛首紬の名が継承されています。
牛首紬の着用シーン
しかし、後染め品も多く出てきたことから、よそゆき着としての顔も持つようになったのです。
着物通の心をくすぐる上品な着物
くろゆりから採られた染料で染め上げられる牛首は、温かみのある柔らかな色合いのものが多いです。
紬のわりにカラーバリエーションが豊富なので、普段着に着るだけではなく、ちょっとしたよそゆき着に着る人が多くなりました。
丈夫でありながら、綸子のような柔らかさがあることから肌馴染みも良く、非常に着心地が良いのも人気の秘訣です。
セミフォーマルな場にも着て大丈夫?
牛首紬は紬ではあるので、本来であればカジュアルな装いに向いています。
しかし、先にも述べたように、加賀友禅や京友禅と組み合わせた牛首紬は染めの格も加わり、セミフォーマルな場でも十分通用する着物に仕上がっています。
ちょっと上品な食事会、観劇、子供の発表会など、華やかな場でも活躍してくれる一品なので、一つ持っていると大変重宝します。
より格調高く見せる場合は、金糸や銀糸が入った袋帯を合わせるようにしましょう。
まとめ
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