着物基礎知識

帯揚げとは?基本的な結び方や種類、コーディネートのヒントまで。着物おしゃれの幅が広がる。

着物姿の帯まわりをさりげなく飾る帯揚げ。

胸元を彩る大切な着物小物です。

同じ着物でも、帯揚げの色や柄、素材や結び方を変えることで印象が変わります。

「帯揚げの上手な組み合わせが知りたい」

「どのような結び方があるのか分からない」

「可愛くおしゃれに取り入れたい」

そんなお悩みが解決できるよう、帯揚げの素材や色の組み合わせ方、TPOのマナーなどを詳しく解説していきます。

帯揚げの役割


帯揚げは帯まわりを飾る大切な着物小物です。

帯揚げにどのような役割があるのかみていきましょう。

帯枕を包んで隠す

古くは帯の形を整えるために使われていた帯揚げですが、現在は帯をお太鼓結びにする際に使われています。

帯枕と帯枕の紐を包んで隠し、見栄えをよくする役割があります。

さりげないおしゃれにも

帯揚げはお太鼓結びが定着してから、着物の装飾品の一部として取り入れられてきました。

その日の気分やお出かけ先に合わせて、好みの素材や着物に合わせた柄の帯揚げを取り入れることができます。

同じ着物でも、身に着ける帯揚げによって何通りもの雰囲気を楽しませてくれるので、着物をおしゃれに着こなしたい方にとって大切なアイテムになるでしょう。

帯揚げの歴史

帯揚げの歴史は今から170年ほど前にさかのぼります。

帯枕がなかった江戸時代、帯揚げのみで形を整えていました。

大正から昭和にかけて深川芸者が太鼓橋に似せた帯結びをしだしたことが、お太鼓結びのはじまりと言われています。

お太鼓結びにするためには帯枕が必要でした。帯枕のずれを防ぎ、隠すために使われたのが帯揚げだったのです。

帯揚げは芸者の間のみで使われていましたが、次第に一般大衆にも流行が広まり、本格的に普及したのは明治10年頃です。

明治40年頃には商品化され、帯枕が崩れないように整える着物小物として定着してきました。

帯揚げの素材

さまざまな素材や色柄が展開されている帯揚げは、取り入れる種類によって、着物全体の印象が変わります。

どのような素材があるのか、着物の合わせ方などをみていきましょう。

絞り(しぼり)

立体感があり豪華な雰囲気を演出してくれる絞りの帯揚げは、成人式の振袖や礼装に取り入れられることが多い素材です。

ふんわりと可愛らしいボリュームを活かして、華やかな雰囲気にも演出できるのでとても人気です。

絞り素材の帯揚げは帯揚げの一部分が絞られている「部分絞り」と帯揚げの全体が絞られている「総絞り」の二種類があります。

どちらも華やかな印象なので、豪華な着こなしをしたい時などに特におすすめですよ。

綸子(りんず)

薄い生地と光沢感が特徴の綸子の帯揚げは、主に冠婚葬祭のようなフォーマルなシーンで多く取り入れられています。

厳密な決まり事はありませんが、光沢のあるものがより格が高いとされている着物の世界では、綸子の帯揚げはフォーマルにおいても問題なく使用できる素材といえるでしょう。

なめらかな素材と上品な印象なので、フォーマルから普段のお出かけまで、さまざまな場面で取り入れることができますよ。

縮緬より薄く軽い印象になるので春や秋の季節におすすめです。

縮緬(ちりめん)

柔らかくてふわっとした印象の縮緬の帯揚げは、落ち着いたシーンからカジュアルな装いまで幅広く使えるのが特徴です。

光沢がほとんどなく 表面がでこぼこしているためしわになりにくい素材です。

気軽に取り入れたい時などにぴったりですよ。

程よい厚みがあるので季節を問わず使われています。

ウール・化繊・小紋・紬の普段の着物に取り入れると良いでしょう。

絽・紗

代表的な夏用の帯揚げといえば絽・紗素材の帯揚げです。

透け感があるので、暑い夏を涼しげな雰囲気にしてくれるのが特徴です。

通気性に優れている素材は夏の着物によく合います。

フォーマルやカジュアル、単衣や薄物の着物など、幅広く使用できる「絽」の帯揚げは、一枚持っているととても重宝しますよ。

フォーマルに使う時は、絽の白か淡い色を合わせると良いでしょう。

6月から9月中旬までが絽・紗素材の帯揚げを楽しめる季節になります。

レース

優しく女性らしい雰囲気になるレースの帯揚げは、どのような着物にも合わせやすい素材です。

胸元から少しだけ見えるレースが着物をおしゃれに引き立たせてくれるでしょう。

カジュアルなシーンからちょっとしたお出かけまで、幅広く使える素材なので、気軽に取り入れられるのも嬉しいですね。

季節を問わず使用できるので、手軽におしゃれを楽しみたい方にぴったりですよ。

帯揚げのTPO

帯揚げも着物や帯と同じようにフォーマルとカジュアル用の使い分けが必要です。

シーンに合わせた選び方をみていきましょう。

素材によって格は変わらない

帯揚げは素材によって格が変わることはありません。

しかし、素材によって着用できるシーンが変わります。

着物の格に合わせて、帯揚げの素材を合わせることをおすすめします。

シーンに合わせて選ぶ

帯揚げの色や素材は、着物を着るシーンによって選びましょう。

華やかな場面では豪華な雰囲気を演出してくれる絞りの帯揚げなどの素材が良く合います。

フォーマルな場では光沢のある綸子などの落ち着いた素材の帯揚げを合わせると良いでしょう。

フォーマル向きの帯揚げ

フォーマルな場の礼装では、淡く薄い色や白色、金糸が一部入れられた帯揚げが一般的です。

上品さを表現できる控え目めな色は、訪問着などにぴったりですよ。

白色の帯揚げは、結婚式などの慶事などの礼装で使用されることが多く、白・銀・金の色を取り入れることができます。

黒色の帯揚げは、葬式などの弔事に使用され、無地は喪服で使用されることが多いでしょう。

色柄が入っているものや、柔らかい素材のものなどはカジュアルにも使用できます。

基本的に正礼装には白、金、銀以外の色は使えません。

黒留袖やフォーマルな場で着用している格の高い着物には、白の無地または、金、銀をほどこした綸子や縮緬の帯揚げなどを取り入れると良いでしょう。

フォーマルでも華やかにする場合が多い振袖は、刺繍入りのものや華やかな綸子や絞りの帯揚げなどを合わせるのもおすすめです。

色味は濃くなればなるほど、普段の着こなしに合わせやすくなります。

フォーマルでも、シーンによって取り入れる素材や色味が変わりるので、その時々に合わせて上手に取り入れると良いでしょう。

カジュアル向きの帯揚げ

カジュアルな着物の着こなしの場合は、帯揚げも自由に好きな素材を組み合わせて楽しみましょう。

濃い目の色や大胆な絵柄入りの帯揚げを合わせることで、帯まわりのアクセントになりおしゃれに着こなせます。

鮮やかな色合いを入れることで、若々しい雰囲気になるのでいつもと雰囲気を変えたい時などに取り入れてみてはいかがでしょうか。

帯揚げの結び方

帯揚げは、結び方によって着物の印象を大きく変えます。

さまざまなバリエーションがありますが代表的な結び方を4つ見ていきましょう。

基本の本結び


帯揚げの基本の結び方は本結びです。

帯の中央に帯揚げの結び目がくるように結び、帯の上から左右対称となるように、帯揚げを見せます。

一文字結び

帯揚げを横に伸ばして飾る結び方を一本結びといいます。

漢字の一のように見えることからこのように呼ばれたと言われております。

帯揚げの見える範囲が広いので、帯まわりを特に協調したい時などにおすすめですよ。

個性的なリボン結び

基本の結び方は半幅帯の文庫結びと同じです。

帯の上にちょこんと乗せるリボン結びは普段着にも華やかな場にも良く合います。

作るリボンの大きさを自分好みにアレンジすることで、個性的でかわいい着こなしが楽しめますよ。

和洋をミックスした、現代的な着物の着こなしとも言えるでしょう。

入組山飾り(いりくやまかざり)

入組山飾りは帯の上に左右均等に山を作るように飾る結び方です。

山に見立てた帯揚げの出し方をアレンジすることで、着物の雰囲気も変わります。

普段の着物から、お出かけまで気軽に取り入れられる結び方ですよ。

いつもと変わったアレンジを取り入れたい方におすすめです。

帯揚げに使えるもの


帯揚げの大きさは、約160センチ×約30センチ程の長方形です。

この長さが足りている生地なら、身近にあるもので帯揚げとして使用ができます。

ここでは帯揚げに代用できる3種類のアイテムを見ていきましょう。

着物生地のハギレ

自宅に眠っている着物のハギレはありませんか?

ミシンがあれば、気になる端を処理するだけで簡単に帯揚げに早変わり。

着物生地ではなく、半端なハギレ生地を縫い合わせても代用できます。

自分好みの生地で、帯まわりを華やかに飾りましょう。

スカーフや大判ハンカチ

スカーフや大判のハンカチも帯揚げに使用できます。

現在は100円均一でも手軽に可愛いスカーフなどが手に入りますし、デパートなどで見つけたお気に入りのスカーフを取り入れるのも良いでしょう。

大きさが足りていれば、どのようなスカーフやハンカチでも帯揚げに使えますよ。

長さがあれば何でもOK

帯揚げは長さが足りていれば、ほぼどのような生地でも代用できます。

扱いやすい素材は薄手の絹や化繊になりますが、いろいろな生地を試してみると良いでしょう。

手芸ショップなどで手に入るレースなども可愛らしくていいですね。

布は切りっぱなしでも、帯の中に入るので見えない部分になりますが、気になるのであればミシンで端をジグザグ縫いで処理をすると安心です。

帯揚げのコーディネートのヒント

帯揚げの柄は無地やぼかし染、小紋染など、さまざまな種類があります。

着物の格や、着ていく場所によって素材や色をバランス良く組み合わせると良いでしょう。

着物や帯の色から選ぶ

もっとも簡単な合わせ方は、帯揚げに着物や帯の色を取り入れる事です。

初心者でも簡単に合わせることができるので、迷ったら同系色を取り入れることをおすすめします。

着物や帯の柄の中から一色だけ色を取り入れる、小物の色と合わせるなど、同系色にすることで着物全体の統一感が生まれて落ち着いた雰囲気になりますよ。

着物の色が全体的に濃い場合は、帯揚げは着物の中の一番薄い同系色を入れると良いでしょう。

薄い色みを取り入れることによって、全体的にバランスの取れた印象になりますよ。

着物や帯の色以外から選ぶ

同系色でまとめられている着物の場合は、帯揚げや帯締めに補色を入れてあげましょう。

ぼんやりとした雰囲気が、色を加えることによって引き締まります。

例えば全体的に薄い緑色の着物に、赤い色の帯揚げを取り入れると、帯まわりが引き締まり華やかなイメージになりますね。

逆に濃い色の着物には、薄い差し色を帯揚げに選ぶことで、上品な落ち着いた雰囲気になりますよ。

なりたいイメージを浮かべながらコーディネートを楽しむと良いでしょう。

帯締め・帯留めと調和をはかる

帯締めや帯留めに合わせて帯揚げを選ぶのもおすすめです。

帯まわりの小物を合わせることで着物全体のバランスが整います。

アレンジがしやすい帯まわりは、自分好みの素材や色味を取り入れておしゃれを楽しみましょう。

半衿と同じ幅を出す

着物のコーディネートによって、半衿と帯揚げの出し具合を調整しましょう。

着物を着る季節や着ていく場所によりますが、半衿と帯揚げを同じ幅にすることで着物全体がバランスよくまとまります。

着物や帯まわりの色柄などを考慮しながら、見せ方を選ぶと良いでしょう。

まとめ

帯揚げは着物を着る際に、必ず使わなけれないけない小物ではありません。

しかし帯揚げを使うことによって、着物のおしゃれの幅が広がります。

帯枕を隠すことで着物をより美しく見せる役割がある帯揚げ。

季節やTPOに合った帯揚げを取り入れながら、自分らしいコーディネートを楽しみましょう。