「着物に興味がある」
「着付けを習いたい」
そう思ったら、まずは着付け教室探しです。
しかし、自治体の着付け教室、個人、大手などさまざま着付け教室がありすぎて、一体どこを選んだらいいのか迷ってしまいますよね。
そこで今回の記事では、自分に合った着付け教室を見付けるためのポイントや注意点などを詳しく解説していきます。
いろいろある着付け教室の種類
ひとくちに着付け教室といっても、大手の着付け教室から、自治体主催の着付け教室までさまざまなタイプがあります。
大手着付け教室
大手の着付け教室は、全国各地に教室を設けていて、駅の近くにあるなどアクセスも便利です。
また、コースが豊富で、着付け初心者からプロの着付け師や講師を目指す人まで、それぞれのニーズに合わせてコースを選べます。
授業の様子を無料で体験できるところも多く、体験してから入会するかどうかを判断できるのもメリットのひとつです。
さらに、着物や帯、その他着付けに必要な小物などをレンタルできるところもあるので、「着付けを習いたいけれど、着物がない」という人にも、始めやすいのが特徴です。
個人の着付け教室
個人宅で開かれている着付け教室は、人数も比較的少なく、講師の目が行き届きやすいのがメリットです。
個人宅の着付け教室は、大きく分けると2つのタイプがあります。
- 大手の教室から看板をもらい、自宅で教室を開いている
- 完全に個人で教室を開いている
前者の着付け教室では、教材費・授業料・入会費・カリキュラムなどが母体の着付け教室に準じて行われます。
後者の個人の着付け教室では、カリキュラムのベースはありながらも、「夏だから浴衣が着たい」「帯結びが苦手だからもう一度復習したい」といった生徒の要望に柔軟に対応してくれるのがおすすめポイントです。
しかし、あくまでも個人の教室のため、資格を取ったりすることはできません。
個人の教室では、「自分で着物を着れるようになりたい」「人に着付けするときのポイントは?」など、スキルを磨く場として活用しましょう。
呉服店主催の着付け教室
呉服店主催の着付け教室は、だいたい以下の目的で教室を開いています。
- お客様が購入した着物を、自分で着れるようになるためのアフターサービス
- 着付け教室の生徒に、店舗の商品を紹介および販売するため
呉服店の着付け教室は、自分で着物を着て楽しむことを目的としています。
したがって、講師になりたい人やプロの着付け師としてのスキルを身に付けたい人には不向きかもしれません。
呉服店のスタッフは、着物の産地や種類、仕立てなど着物に感する知識も豊富なので、着物を購入したい場合などには、細かくアドバイスをもらえます。
自治体の着付け教室
「着物に少し興味があるけれど、着付け教室は授業料が高額なのでは?」といった心配もありますよね。
その場合は、手始めに自治体が主催する着付け教室に通ってみるのがおすすめです。
営利目的でない自治体が主催しているので、受講料も安く安心です。
着物を自分で用意する必要があるか、レンタルできるかは教室によって異なります。だいたいの教室では、各自で着物・帯・小物などを準備しなければなりません。
授業は月に2回、期間は3カ月~6カ月ほどが一般的です。
自治体の教室を受講し、さらにスキルや知識を高めたいと思ったら専門の着付け教室に行ってみるのもよいでしょう。
まずは目標を明確にしよう
教室選びでまず大切なのが、何を目指すのかを決めることです。
目標によって、教室の選び方が変わってきます。
着付けの目標は、以下のように人によってさまざまです。
- 浴衣や小紋など、カジュアルな着物を着れるようになりたい
- 着崩れない着付けスキルを身に付けて、結婚式や式典などに着て行きたい
- 人に着せるスキルを身に付けてプロとして働きたい
- 着付けの講師になって着物のすばらしさを広めたい
カジュアルな着物を自分で着れるようになりたい場合は、自治体の教室や呉服店の教室。
また、少し格の高い着物をきちんと身に着けたいという人には、大手の教室や、技術の高い講師が開く個人の教室がおすすめです。
プロの着付け師や着付け講師を目指す場合は、プロや講師の養成コースがある大手の着付け教室が良いでしょう。
着付け教室の相場
前述した着付け教室の大まかな相場を比較してみましょう。
下の表は、着物初心者が自分でひととおり着物が着れるようになるまでの相場です。
自治体・個人・呉服店を比較
まずは、自治体や個人、呉服店の着付け教室の相場を見てみましょう。
着付け教室の種類 | 入会金 | 月額授業料 | 授業時間 | 期間 |
自治体の着付け教室 | なし | 1,500円程 | 2時間 | 3カ月(月2回) |
個人の着付け教室 | 2,000円程 | 5,000円程 | 2時間 | 3カ月 |
呉服店の着付け教室 | なし | 2,000円程 | 1~2時間 | 3カ月(10回) |
自治体や個人、呉服店の着付け教室は比較的リーズナブルなのが特徴です。
特に営利目的でない自治体の着付け教室は授業料も安く、着付け教室にありがちな着物の販売や勧誘などもないので安心です。
呉服店もリーズナブルですが、店内の着物などをすすめられる場合もあります。
大手着付け教室を比較
続いて、大手の着付け教室の相場は以下のとおりです。
教室名 | 入会金 | 授業料 | 授業時間 | 期間 |
いち瑠 | 3,000円 | 550円/回 | 2時間 | 8回(3カ月) |
きものやまと | なし | 500円/回 | 1時間 | 4回 |
ハクビ京都きもの学院 | 5,500円 | 18,700円(1回あたり約3,120円) | 90分 | 6回 |
小林豊子着物学院 | 2,000 | 5,000円/月(1回あたり 1,666円) | 2時間 | 12回(4カ月) |
長沼静きもの学院 | 3,000円 | 8,800円/月 (1回あたり 2,200円)注1) | 2時間 | 12回(3カ月) |
注1)着物をレンタルする場合は、月額15,400円
表を見ると、授業料だけ見てもかなり幅があることが分かります。
無料体験がある教室は、一度教室の雰囲気を体験してみるのもおすすめです。
教室との相性などもあるので、通いやすさ、コースの内容や評判、口コミなどを参考に自分に合ったところを選びましょう。
自分に合った着付け教室選びの6つのポイント
ここからは、実際に自分に合った着付け教室選びのポイントを紹介していきます。
ポイント1:個人指導かグループレッスンか
教室によって授業形態はさまざまです。
まずは、個人指導か、グループレッスンかを好みに合わせて選びましょう。
個人指導の教室
個人指導の場合には、周りを気にせず分からないことをきちんと質問しながら授業を進めることができます。
じっくり学びたい人や、一つずつ着実に習得したいという人にはおすすめです。
しかし、自分のペースで柔軟に学べる分、授業料は多少高くなります。
グループレッスンの教室
グループレッスンは、授業料が比較的安いのがメリットです。
しかし、授業のスピードは他の生徒さんに合わせて行われるので、「ここまでは分かったから早く次に進みたい」「分からないことがあるけど、聞くタイミングがない」など、多少のズレが起こります。
大人数になると、一人ひとりに講師の目が行き届きづらいことも出てきます。
個人指導かグループレッスンかは、それぞれメリットとデメリットがあるので、自分に合った授業形態の教室を選びましょう。
ポイント2:授業を欠席した場合の振り替えはあるか
授業を欠席した場合の振り替えがあるかどうかも大切なポイントです。
例えば、全10回のコースの途中で「どうしても仕事で通えなかった」という日があったとします。
こんなとき振り替えがなければ、その分周りの人に遅れをとり、さらには授業料も無駄になってしまいます。
その点、振り替え授業があれば、周りの生徒さんに追いつくこともでき、授業料も無駄にならずにすむので便利です。
特に不規則な勤務体系の人は、振り替え授業があるかどうかをあらかじめ確認しておきましょう。
大手の教室は保障制度が充実しており、個人の教室もある程度融通がききます。
自治体などの着付け教室の場合には、振り替えは難しいでしょう。
ポイント3:目標までの習得期間は?
着物の知識や着付け経験の全くない初心者さんが着付け教室に通う場合、一人で着物を着れるようになるには、だいたい3~4カ月ほどかかります。
この期間はあくまでも一般的な目安で、中には授業のスピードについていけない人もいるかもしれません。
苦手を克服しながらじっくり丁寧に覚えたいという人は、長期的なスパンの着付け教室や個人指導の教室を選びましょう。
また、「夏までに浴衣が着れるようになりたい」などニーズがピンポイントの場合には、短期集中コースや、ニーズに比較的柔軟に応えてくれる個人の着付け教室が良いでしょう。
ポイント4:着物はレンタルできる?
着付けを始めたいという人のほとんどは、着物を持っていません。
着物・帯・小物など着付けに必要なものをレンタルできる着付け教室を選ぶと、気軽に始められます。
着付けに必要なものを一から準備しようとすると、かなりの費用がかかるものです。
その点レンタルなら安心で、万が一「自分には合わない」と思ってもすぐにやめられます。
着物がないけれど着付けに興味があるという人は、レンタルが可能な教室を選びましょう。
レンタル料無料の教室や有料の教室さまざまなです。
レンタル料金がかかるのかどうか、また最低限自分で準備しておくものがあるのか、しっかり確認しておくと安心です。
ポイント5:授業料以外にかかる費用もチェック
着付け教室を選ぶ際、授業料だけに目が行きがちですが、実は他にも費用がかかる場合があります。
例えば、テキスト代、教室オリジナルの帯枕やゴムバンド式の腰紐といったものです。
また、応用技術の習得を目的とするコースでは、受験料や認定料などがかかります。
授業料だけで判断してしまうと、通い始めてから「こんなに費用がかかるとは思わなかった」ということにもなりかねません。
授業料の他に、必要な費用などがないかどうかをしっかりと確認し、教室を選びましょう。
ポイント6:通いさすさ
通いやすさも大切なポイントです。
いくら口コミなどで評判が高い教室でも、アクセスの良くないところにあれば、結局通うのが難しくなってしまいます。
自宅に近い教室、会社帰りに寄れるところ、駅の近くなど通いやすさも頭に入れ、教室を選びましょう。
口コミも忘れずにチェック
ここからは、実際に着付け教室に通った人の率直な感想を口コミから見ていきます。
良い口コミ
まずは、着付け教室に通って良かったという良い口コミから見ていきましょう。
半年で普段着と浴衣を着られるように
嫁入り道具に持たせてもらった着物と、亡くなった祖母が普段着にしていた着物を持っていたので、自分で着物が着れたら良いなと思っていました。
ちょうど結婚の為にいろいろ準備をしているところだったので、近くの会議所の一室で着付け教室をしていることを知って、半年ほど通いました。
普段着は自分で着付けられるようになり、お正月など家で着ています。
また、子供たちに浴衣を着付けてあげられるようになって、とても喜ばれています。
振袖の着付けも習いましたが、自信がないので普段着と浴衣だけしか着なくなっています。
着付け教室では、簡単な所作なども教えていただき、とてもためになりました。
手持ちの着物を有効活用でき、さらに通いやすいところで学べると便利ですね。
カリキュラム修了後に、お正月の着物、浴衣の着付け、さまざまなシーンで着付けの技術を活用できているようです。
子供にも着せてあげられる!習ってよかった
着付けを習いに行ってよかったです。
着物を着だ時の作法とかも教えていただけてとてもためになりました。今では子供がいるので子供に着せたりする時に役に立っています。
教室に通っている時は通うのが楽しみになっていました。1人で着られるようにもなりました。
教室に通うと、今までできなかったことができるようになったり、交友関係が広がったりと楽しいこともいっぱいです。
着付けの技術を生かして子どもに着物を着せてあげることができると、着物の場が広がります。
レンタルできたので気軽に通えた!
当時着物に興味を持っていて、購入する前にまずはスクールに通って着付けができるようになろうと思いました。
レンタルが可能で気楽な気持ちで利用できます。楽しく通いたいと思っていた自分にぴったりでした。
教え方もとても丁寧で満足しています。
レンタルができる着付け教室は、気軽に通うことができますね。
講師の教え方なども着付け教室選びには大切なポイントだということが分かります。
悪い口コミ
続いて、意外と参考になる悪い口コミです。
販売会でつい買ってしまった…
”セミナー”と称する販売会があります。
「今日だけ安いですよ」と言って実際は普通の店より高い値段で帯や着物を売りつけてきます。
本当に無料ですむわけないだろうけど新しい着物も買いたいし、と思って通い始めましたが、まさかあんなにぼったくりとは。
販売会は着物教室あるあるです。
購入を迫られても必要がないと思ったらきっぱり断りましょう。
体験に行ったら高いコースに勧誘された
浴衣の1日レッスンに行ってみて良かったら通おうと思いました。
浴衣レッスンは良かったのですが、
終了後の教室勧誘で先生の態度ががらりと変わり、
急に歯の浮くように「すごく着物似合ってるし」と、ほめだして、高いコースをすすめるので、不信感を持ちやめました。
教室の中には、無料体験や1日レッスンが他のコース勧誘の入口になっている場合もあります。
流されてしまわないためにも、「自分の目標はココ」とという強い気持ちも大切です。
上のコースに進むと急に月謝が高くなる…
数年前から着付け教室に通い、専科と本科の課程を終えました。
現在は師範の免許を取ろうと考えているのですが、教室の月謝の金額が急に高くなり迷っています。
今までは三ヶ月で17000円ほどでしたが、今後は一ヶ月2万円で期間は半年ほど必要だそうです。
師範の勉強が終わった後にも看板代なるもので20万円かかるそうで驚きました。
スキルが上がるごとに、授業料や別途かかる費用も多くなっていきます。
しかし、実際には教室内の資格があっても、必ずしも社会で即戦力になるとは限りません。
通っている着物教室専属の講師になりたいと思っている人以外は、一度立ち止まって冷静に考えてみましょう。
着付け教室選びの注意点
着付け教室を選ぶ際、また選ぶときに気を付けたい注意事項をいくつかご紹介します。
着付けの販売会には気を付けて
「着付け教室の販売会に誘われて断れずに着物を買ってしまった」という話をよく耳にします。
カリキュラムに販売会が初めから組み込まれている教室もありますが、決して着物を買う義務はありません。
「今後のレッスンに差しさわりがあるかな?」
「買わないと気まずい雰囲気になりそう」
「穏便に済ませたい」
普段お世話になっている講師に強くすすめられると、さまざまな理由から自分の本意に反して買ってしまいそうになります。
しかし、着物は1万や2万で買えるものではありません。
授業料が安くても、着物を買うことで結局高額になってしまっては本末転倒です。
必要がなければ買わない、誘惑に負けそうだなと思うときには行かない、など自分なりの対策を考えることが必要です。
着付け教室に販売会がある理由
どうして着付け教室には販売会があるのでしょうか?
それは、着付け教室の運営資金を繊維組合や卸問屋が出資しているからです。
教室側は運営資金を出してもらう見返りといして、生徒に着物を買ってもらうのです。
販売目標やノルマがあるところもあり、これが少し強引な販売へとつながってしまいます。
着付け教室のHPやパンフレットには、「販売会はありますが、売り込みはしない」と宣言しているところもあります。
しかし、その都度、本当にその着物が必要なのか、いらないのか、周りに流されることなく、自分の気持ちに正直に判断しましょう。
HPやパンフレットには載っていない認定料やお免状代もある
大手の着付け教室では基本的なコース終了後、より専門的なコースに進む場合に受験料・認定料・お免状代などが必要になることがあります。
「最初から知っていれば…」と後悔しないためにも、授業料や教材費の他に、認定料などの別途料金がかからないのかをあらかじめ確認しておきましょう。
まずは、HPやパンフレットに別途費用が載っているかどうかをチェックしましょう。
載っていない場合にも、入学前にしっかり確認することをおすすめします。
もしそのことを知らずに教室に通い始めてしまい、上を目指すための高額な認定料やお免状代が必要となったときには、一旦冷静になり立ち止まることも必要です。
例えば、プロの着付け師になりたい場合、そこでお免状をもらったとしても、採用時はあくまで参考程度として見るだけで、結局は自分の技術が採用を決めます。
納得のいかないまま流さてしまうのは避けましょう。
まとめ
着付け教室選びの一番のポイントは、自分にあったところを見付けることです。
お気に入りの教室を見付けて、着付けのスキルを身に付けて入学式や卒業式などのイベントごとに限らず、いろいろなシーンで着物を楽しみましょう。