古銭を売ろうと思った時、実はお持ちの古銭の種類によっては宅配買取の形式を利用できないことがあります。
それは、古銭が法令上「現行通貨」に該当した場合です。
この記事では、どんな古銭が現行通貨として扱われ、宅配買取できないのかについてご紹介します。
また、業者ごとに対応は異なるので、大手買取業者の事例もご紹介するとともに、宅配買取で気を付けたいポイントについてもまとめています。
買取形式について悩んでいる方は、是非ご一読ください。
古銭には宅配で送れないものがある
ひとことで古銭と言っても、様々な種類があります。例えば、昔流通していた銀貨や紙幣、記念コイン、外国の金貨などです。しかし、その中には法令で取引が制限されているものがあります。
法令上、古銭には「現行通貨」として定められるものがある
実は、古銭の中でも記念硬貨は、今も使用できる貨幣として認められており、記載の額面通りの価値で利用する事が出来ます。ただし、だからといって本当に使おうとすれば、ショップの店員さんはそんな通貨を見たことがないので拒否されてしまうでしょう。なので、日本銀行のホームページでは銀行等で交換してくださいとの記載があります。
参考:日本銀行 ー記念貨幣は実際に使うことができますか?
このような法令上今使用できる貨幣の事を「現行通貨」と言います。記念硬貨の他、旧一万円札や百円札などもこれに該当します。
参考:日本銀行 ー有効な銀行券・貨幣
現金に該当するものは宅配できない
そして現行通貨には、宅配に関して規制が定められています。その法令である郵便法の第十七条には「現金又は郵便約款の定める貴金属、宝石その他の貴重品を郵便物として差し出すときは、書留(第四十五条第四項の規定によるものを除く。)の郵便物としなければならない。」とあります。
これにより、上記のような現行通貨に含まれる記念硬貨や旧紙幣は、通常の宅配便での輸送が禁止されています。
宅配便で現金を送るとどうなるか
過去には違反事例として、宅配業者と、依頼人の両方が罰則の対象となり、書類送検された事があります。
また、現金を宅配で送った事により、それが盗まれたりして事件に巻き込まれる可能性もあります。なので、現金を送りたい際は、上記の郵便法で認められている「現金書留」の方法で必ず送りましょう。現金書留であれば保証を付けることができるので、万が一配送中の事故等で紛失されても安心です。
買取業者での対応は?
この法令は、宅配買取での配送にももちろん適用されます。宅配での古銭の買取は、業者によって対応が異なるので、どんなケースがあるか見ていきましょう。
一部の古銭に関して、宅配買取できない業者がある
福ちゃんなどの業者は上記のような「現金」に該当する古銭以外の古銭であれば、宅配買取できるとしています。例えば、海外古銭や、昔流通していた穴銭や銀貨といったものが該当します。
こうした業者では、お持ちの古銭が現行通貨以外のものだけである場合は、きちんとどういった古銭を売ろうと思っているかのコミュニケーションを取ったうえで、宅配買取を利用する事が出来ます。
そもそも古銭では宅配買取自体を、受け付けていない業者もある
一方、バイセルやウリエルといった業者は、現金として扱われる古銭だけでなく、全ての古銭の宅配買取を不可としています。
それらのホームページでは「法令により古銭の宅配買取は不可なので~」と記載されていますが、これはおそらく「利用者が分からないまま現行通貨に該当するものを送ってしまった。」「なんらかの手違いで現行通貨が宅配物に紛れ込んでしまった。」「査定前には現行通貨以外の古銭だけを伝えていたのに、宅配便を開けてみたら現行通貨に該当する古銭も入っていた。」といった業者側が困るようなトラブルをそもそも回避するための措置でしょう。
大黒屋はそもそも宅配買取に限らず、一部の古銭を買取不可としています。その種類は、穴銭・アルミ銭・スズ銭・現行通貨です。店頭や出張の形式でも受け付けていないので注意しましょう。
※穴銭:中央に穴が開いている硬貨の事。現行5円玉も穴銭に当たる。代表的な古銭は「和同開珎」「永楽通宝」「中国穴銭」「絵銭」など。
※アルミ銭・スズ銭:戦時中に今まで原料としてきた銅が不足し、その代わりにアルミやスズを素材として作成された近代貨幣の一種。その他、ニッケル銭もある。金、銀、銅を加えて、この6種類が近代貨幣のメイン素材とされている。
現金書留の形で宅配買取を受け付けている業者はないのか
2022年3月現在、現金書留の形をとれば宅配買取で査定を行うと明記している業者は確認できませんでした。しかし実際には、上記のような古銭に関しては宅配買取をNGとしている以外の業者で、現金書留を利用して買取がおこなわれている可能性はあります。
どうしても宅配買取を利用したいという場合は、古銭に関しても宅配買取を受け付けている業者に、「現行通貨に該当するがどのようにすればよいか」と尋ねて見ると良いでしょう。現行通貨であることを気にもしていない業者であった場合は、トラブルのもとになるので、そもそもその業者の利用はやめましょう。書留での対応をしてくれるようであれば利用してみるのもいいかもしれません。
宅配買取の利用について
基本的には店頭・出張買取の利用がおすすめ
このような法令上守らなければいけないルールがあるので、古銭の宅配買取を依頼する場合は特に、買取してもらいたい商品を包み隠さず写真等も添えてしっかりと業者側に伝えましょう。以上のような業者の定める範囲内の古銭であれば、宅配形式での買取が可能です。
後から記念硬貨が出てきたから一緒に送ってしまえばと、勝手に郵送してしまうのはNGです。業者側も困ってしまうので絶対にしないでください。
一方、店頭・出張買取の場合はそういった法令上で規制されている古銭の種類は全くないので、追加で持って行ったりするのもOKです。(もちろんコミュニケーションの観点で事前に伝える方が良いです。)お持ちの古銭がどちらに該当するのかなどの細かい事情は専門家でなければ分からないところもあるので、迷うような場合は基本的には店頭もしくは、出張買取の利用をおすすめします。
宅配買取の流れ
以上を踏まえた上で、宅配買取を利用する場合には、あらかじめ手順を確認しておきましょう。流れを知っておくことで、安心してサービスを利用する事が出来ます。業者によって詳細は異なるものの、共通する大まかな流れは以下の通りです。
- 電話かメールで申し込み
- 5日以内に宅配キットが自宅に到着
- ご自身で切手の梱包・配送
- 業者に到着後、1週間ほどで査定終了
- 買取業者から査定結果の電話
- 買取の意思確認
- 同意すれば買取契約成立
- ご指定の銀行口座へお振込み
実際には、依頼を検討する業者同士の流れを比較し、自分に都合の良い業者を利用しましょう。
宅配買取の際に気を付ける点
まずは、簡単に宅配買取のメリット・デメリットについて表でまとめます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
宅配買取 | ・忙しくても自分のペースで利用できる ・非対面で利用できるのでコロナ時代に向いている |
・運搬中に破損するリスクがある ・査定の様子がわからない |
特に仕事が忙しい人には自分で店頭に持って行ったり、家で出張業者を待つというのは難しいと思います。そんな人でも骨董品を梱包して送るだけの宅配買取であれば、自分のペースで進めることができます。また非対面であるのは、コロナ時代に大きなメリットになるでしょう。
一方で、宅配業者を利用するからこそ、運送中に古銭が欠けてしまったり、保存しているケースが割れてしまって、中の古銭が箱の中で散らばってしまったり、という事故が起きる可能性があります。また、非対面でのメリットの逆で、査定の様子が見えずなぜその査定内容になったのか、の説明が不足するケースがある事がデメリットです。
以下では、それに加えて気を付けておくと良い注意点についてご説明していきます。
配送料・返送料に注意する
まず、宅配買取を利用する際に最も気を付けておく事は、送料が無料の業者を選ぶという事です。多くの業者は送料を無料としているので、あまり気にする事ではないと思われるかもしれませんが、意外と見落としがちなのが、キャンセルをした際の返送料です。小さな文字で「ただし返送料は有料」と注意書きがある業者が多いです。
これには買取が不可と業者が判断し、その業者が「買取不可商品は引き取れない」と定めていた場合も適用される可能性があります。査定額が0円だっただけなく、引き取れもしないから突き返されて返送料を負担しなければならないのはつらいですよね。
もちろんこうした際の対応は業者によりますが、ご自身が利用しようとしている業者はどこまでが無料なのかをちゃんと確認するのが宅配買取を利用する際の最低限のポイントです。
配送中のコイン同士の擦れにも注意
先程デメリットとして、配送時の破損について触れました。それに加え、古銭の配送時には、コイン同士の擦れが起きる可能性を想定しておいてください。コイン同士が擦れるということはつまり、古銭が劣化するという事です。古銭の買取ではやはり劣化の少ない、綺麗な状態の方が高く売れます。
いくら手元できちんと保存・保管しておいても自分の目の届かない配送の際に傷ついてしまうと元も子もありません。そのようにならないよう、コインケースのままプチプチに包んで箱に詰めるといった工夫をして下さい。
古銭の劣化や保存方法、どんな古銭が高く売れるのかについては以下の記事をご覧ください。
手続きにかかる時間を事前に把握しておく
宅配買取は意外と時間が掛かります。例えば以下の事例が考えられるでしょう。
- 配送にかかる時間
- 業者に到着後、査定員が査定するまでの時間
- 査定後に承諾もしくはキャンセルを伝えるやり取りに掛かる時間
- 承諾後、銀行振込の手続きに要する時間
- 宅配キットを依頼した場合、到着するまでの時間
- キャンセルし返送してもらう場合、業者が発送し到着するまでの時間
宅配買取ではやはり、配送にかかる時間がネックになります。業者側はいつでも受け取り出来ても、宅配キットや返送を依頼した場合は、こちらも受け取りの必要があるので、日時が合わない場合はなかなか受け取れません。
また、非対面であるからこそのやり取りにかかる時間も想定しておきたいところ。業者側の連絡が遅い場合や、メールではなく電話のみの対応であった場合などは、思ったよりも時間が掛かってしまいます。
キャンセルして次の業者にまた査定を依頼する場合は、同じくらいの時間が更に掛かります。こうした時間が掛かってもいいという方は宅配買取の利用を検討してみてもいいでしょう。
送料分が査定額から差し引かれている可能性がある
当サイトで収集している口コミに以下のような意見がありました。
45歳 男性 東京都での茶道具の買取の口コミ・評判
定価で買うと5000円位の 扇子(茶道具の7寸5分の比較的汚れていないもの)を買い取ってもらったのですがあまり良い金額がつきませんでした。もう少し金額がつくのではないかと思っていましたが、思ったよりも行きませんでした。あまり汚れていない商品だと思っていたのですが、よく見ると違っていたのかもしれません。よく見ると判定は違っていたのかもしれないので、800円くらいの金額でした。
買取サービスを利用していこうと思っている人が多いと思いますが、私からのアドバイスとしては、宅配買取は利用しないほうがいいと思います。宅配買取と言うものもあって、利用している人たちはたくさんいますが、ドライバーの配送代金が差し引かれてしまっている場合があるので、千円ぐらい差し引かれてしまっている場合があり、1100円だと100円でしか買い取ってもらえないと言うような、ふざけた事態になってしまうこともあるので利用する前に気をつけておいた方が良いでしょう。
引用:買取の評判
実際にこれは宅配買取において当てはまる事です。特に宅配買取専門としている業者では、「店舗を持たないため、その運営コスト分を査定額に還元!」としているところがありますが、その還元分と送料が相殺されている可能性もある事には注意です。
査定商品の価値が高ければ店頭買取や出張買取よりも、この宅配買取業者の方が高価買取になる可能性は十分にありますが、価値がそもそも低ければ送料分で宅配買取の方が査定額は少なくなる可能性があります。
一方、店頭・宅配・出張を実施している大手買取業者であれば買取方法による差分はないかもしれません。しかし、その分買取にかかるコスト額を全ての買取形式で平均して差し引かれている可能性があります。
こういったことを考慮した上で業者を選定しましょう。おすすめは、返送料も無料であるような利用者負担が完全無料の業者で複数査定してもらう「相見積もり」を行って査定額を把握し、一番査定額が高い業者に再度買取を依頼するというやり方です。
まとめ
この記事では、宅配買取を利用できない古銭についてご説明しました。
法令で禁止されている点なので、ご自身の不注意がトラブルのもとにならないよう気を付けましょう。
迷った場合は店頭や出張買取を利用する方が無難です。
ですが、もちろん宅配買取しか都合がつかない場合もあると思います。その際は是非本記事でご紹介した宅配買取の際のポイントも参考にしてみてください。
本サイトでは他にも古銭や骨董品に関するコラムを載せていますので、興味があれば是非他にもチェックしてみてくださいね。