「どんな九谷焼が高く売れる?」
「九谷焼を高く売るにはどうしたいい?」
このようにお困りの方も多いのではないでしょうか。
高く売れる九谷焼は、江戸時代に作られた歴史ある作品です。他にも有名作家の作品などは高価買取が期待できます。この記事では、高く売れる九谷焼や、高く売るコツを詳しく解説します。九谷焼の売却を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
石川県南部の九谷焼
石川県南部で生産される九谷焼(くたにやき)は、17世紀半ばの江戸時代前期に始まり、大らかさと煌びやかさを兼ね備えた独特な陶磁器です。17世紀末に突然作られなくなり、それまでに生産された物を古九谷(こくたに)と呼んでいます。18世紀になると九谷焼作りが再開され、そのミステリアスな歴史に多くのコレクターや研究家が興味を持ち始めました。1873年のウィーン万博をきっかけに世界中に広まり、国内だけでなく海外にも多くのファンがいます。
手元の焼き物は九谷焼?九谷焼の特徴
手元の焼き物が九谷焼かどうか、九谷焼の特徴を理解しましょう。
絵画のような絵付け
九谷焼最大の特徴は多色で描かれる上絵付けです。優美な絵付けが特徴的な九谷焼は上絵付けと呼ばれる技法から生まれています。上絵付けとは釉薬の上から顔料を付け、再び焼く技法のことです。上絵付けに使用する絵の具は800度程度で焼き付けできるので、制約が少なく、多彩な色彩を生み出されます。緑・黄・赤・紫・紺青の5種類を使い分けることから五彩手(ごさいで)と呼ばれ、重厚な輝きが九谷焼の魅力を引き立てています。上絵付けは窯ごとに画風があり、山水や花鳥など絵画的で大胆な絵付けが人気です。
鮮やかな色使い
多彩な色合いが楽しめるのも九谷焼の魅力です。赤・緑・黄・紫・紺青の5色を駆使して鮮やかなグラデーションを生み出しています。陶磁器の作者によって色合いや組み合わせが異なり、華やかな色使いの図柄が特徴的な九谷焼などカラーリングの種類も豊富です。
大胆なデザイン
時代に応じて変化してきた九谷焼は、ライフスタイルに合わせたデザインを生み出してきました。現代九谷焼をリードしてきた作家・北出塔次郎 (きたで とうじろう)・不二雄 (ふじお)は、 中近東の異国風情の漂うデザインや彫刻による飾り付けなどを取り入れた独自の作風を築いてきたのです。陶磁器のデザインによっては、金箔や銀箔を貼り付ける、金彩(きんさい)や銀彩(ぎんさい)など上品な美しさの九谷焼もあります。
高価買取!九谷焼の人気作家一覧
高価買取が期待できる九谷焼は、人気作家による作品です。九谷焼の人気作家を紹介します。
人間国宝:三代目徳田八十吉
初代から100年以上引き継がれた徳田八十吉は九谷焼の陶芸家です。中でも三代目は約70色を使い分けるグラデーションが特徴の耀彩(ようさい)という独自技法を生み出しました。三代目徳田八十吉の集大成といわれる黎明(れいめい)は、独特な色使いとグラデーションが魅力的な作品です。人間国宝に認定され、世界的に評価される三代目徳田八十吉の作品は、1つ数十万円以上の高価買取が期待できます。
人間国宝:吉田美統
金箔を用いた釉裏金彩(ゆうりきんさい)という技法を得意とする吉田美統は、人間国宝に認定されています。1900年から受け継がれる錦山窯の三代目として、金の装飾を釉薬で覆った上品な作品を生み出してきました。植物をモチーフにした作品が多く、花や葉をかたどった金箔を貼り付けるデザインが魅力です。高貴な輝きを放ちながら華美すぎず落ち着いた作品が、国内外のコレクターから人気を集めています。
中田一於
中田一於作品は、花や幾何学模様を描き、光を当てると銀箔が浮かんで輝きを放つ仕上がりが特徴です。人間国宝・三代徳田八十吉から指導を受け、下地を塗って焼成した素地に銀箔を貼りつけ、透明釉をかけて焼成する独自の技法を生み出しました。この独自技法は釉裏銀彩(ゆうりぎんさい)と呼ばれ、銀箔の清らかな輝きは、現代の生活に溶け込むとして注目を集めています。
武腰一憲
武腰一憲は、サマルカンドブルーと名付けられた独自の色に、金で彩色された月や太陽、行きかう人々の情景が特徴的な作品です。伝統を重んじながらも九谷焼に変化をもたらす作家として、他の作家には見られない独特な表現のシリーズ作品があります。代表作の「遠い日」シリーズでは、ウズベキスタンの青空をイメージした「過日」「記憶」「静座」などの作品が魅力です。
どんな九谷焼なら高く売れる?
作られた時代によって九谷焼の買取価格は異なります。高く売れるのは古九谷と呼ばれる江戸時代前期に作られた作品です。他にも高価買取が期待できる作品があるので、それぞれの特徴を解説します。
画像参照:九谷満月 公式オンラインショップより
高価買取|古九谷
九谷焼が生産されるようになったのは江戸時代前期。それから100年以内に九谷焼作りは一度ストップします。この期間に作られた作品を古九谷と呼び、わずか数十年間しか作られなかったため希少性の高さが特徴です。骨董品コレクターの間では古いものが高い価値をもつとされているので、九谷焼の中でもっとも古い古九谷は、高額での取引が期待できます。中でも余白をほとんど残さず緑を印象的に配色した「青手」や、赤く細いラインで文様を描いた「赤絵細描」は人気の高い作品です。
木米
九谷焼を復興させた京都の陶芸家・青木木米が生み出し作風が木米です。赤く塗りつぶした素地に中国風の人物を描いた文様が特徴で、その後の九谷焼の復興に大きな影響を与えました。特徴的なデザインは海外でも多くの人に愛されています。
吉田屋
古九谷の窯跡の横に窯を築いたのが吉田屋です。古九谷の復興を目指して作られた吉田屋の作品は、芸術性や品質の高さが古九谷に迫るともいわれています。短期間で廃窯となってしまい吉田屋で作品が作られることはなくなりますが、その後の九谷焼発展に大きく貢献しました。
飯田屋
吉田屋を引き継いだ宮本屋宇右衛門によって生み出されたのが飯田屋です。吉田屋から作風を一変させ、白の素地に赤く細かいラインで文様を描いたデザインは、中国の画風をモチーフにしたことで世界的に人気を集めています。
永楽
永楽は赤地の上に雲・鶴・唐草などの図案を金彩し、針金で削って残します。染付の作品では、金襴手(きんらん)の外面に鳥獣草花を染付で描いた染付と色釉が調和した作品が魅力です。
庄三
庄三とは幕末から明治にかけて九谷焼をリードした九谷庄三によるデザインです。九谷焼の中興の祖とも謳われる九谷庄三は、時代とともに縮小する九谷焼産業を再興するために、色絵や赤絵の細描、金彩を組み合わせた絢爛なデザインを作り出しました。明治政府が推し進めた産業振興政策にも積極的に参加し、海外の博覧会で「ジャパン・クタニ」として好評を獲得し、今でも海外人気は衰えていません。
九谷焼の買取価格の相場
九谷焼は作家や作品、デザインによって大きく価格が異なります。作品別の買取参考価格は以下の通りです。
古九谷彩色皿 5点1組 | 120〜130万円 |
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三代徳田八十吉作の耀彩鉢「創生」 | 20〜25万円 |
吉田美統 釉裏金彩芙蓉文花瓶 | 20〜25万円 |
福島武山 九谷佐野窯赤絵太公望之図香炉 | 15〜20万円 |
中田一於 淡青釉裏銀彩撫子文 飾皿 | 3〜5万円 |
福島武山 赤綱手実り文九谷焼杯 | 3〜5万円 |
どんな場所で売れるのか
「九谷焼を売るにはどこに持っていけばいい?」このようにお困りの方も多いのでは無いでしょうか。
九谷焼を売るなら骨董品や古美術の買取専門店がおすすめです。リサイクルショップでも買い取ってくれることはありますが、あまりおすすめできません。買取専門店とリサイクルショップの違いについて詳しく解説します。
リサイクルショップ
ほとんどのリサイクルショップが九谷焼を買い取ってくれるはずです。しかし、さまざまなジャンルの品物を買い取るリサイクルショップには、専門の査定員が在籍していないことがあります。専門の査定員でなければ九谷焼の価値を正しく見極めることは難しいでしょう。リサイクルショップでは本来の価値より低い価格で買い叩かれてしまうことも少なくありません。九谷焼を高く買い取ってもらうには、骨董品や古美術の買取専門店がおすすめです。
骨董品や古美術の買取専門店
骨董品や古美術の買取専門店に持っていくと、専門の査定員が正しい価値を見極めてくれます。中でも九谷焼の買取実績が豊富な店舗が安心です。買取実績が豊富な店舗は、オークションや骨董市の相場価格をこまめにチェックしている可能性が高いので、高額査定が期待できます。買取専門店のホームページに実績が掲載されていることがあるので、買取店を選ぶ際にはチェックしてみてください。
どんな形式で買取可能か
九谷焼の買取を行っている業者はたくさんありますが、おすすめなのはバイセルなどの大手の出張査定を行っている買取業者です。
出張 | 査定員が自宅を訪問し、玄関などで九谷焼を査定し、買取してくれます。基本的に無料ですが、出張エリアが限定されている場合があります。 |
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宅配 | 業者に宅配で九谷焼を送り、自宅に居ながら買取してもらえます。手軽ですが、査定の様子が見えないデメリットもあります。 |
店頭 | 自分で店舗に九谷焼を持ち込み買取してもらいます。目の前で査定してもらえますが、労力がかかります。 |
出張
出張買取では、査定員が自宅を訪問し、玄関などで査定から買取まで対応してくれます。店舗に持ち込む手間がないので、サイズが大きいものや数が多いものを売却するときに便利なサービスです。九谷焼は割れ物ですので、店舗に持ち込むと傷ついたり割れたりする恐れがあります。出張買取を依頼すると、持ち運ぶ必要がなく損傷の心配はありません。便利なサービスではありますが、自宅を訪問されたくない人には不向きです。さらに、買取業者によっては出張エリアが限られていることがあるので、事前に確認しておきましょう。
宅配
宅配買取では、品物を宅配するだけで自宅にいながら査定を受けられるサービスです。店舗に持ち込んだり査定に立ち会ったりする必要がないので、時間や手間はほとんどかかりません。しかし、査定に立ち会わないことで買取価格に納得できないことがあります。納得できない場合に返送を依頼すると、キャンセル料や手数料が発生することがあるので宅配買取を依頼する前に確認しておきましょう。九谷焼を宅配すると損傷の恐れがあるので、あまりおすすめできません。配送するときには傷や損傷に注意し、丁寧に梱包しましょう。
店頭
店頭買取では、品物を持ち込んで査定を受けるサービスです。直接持ち込む手間や時間はかかりますが、査定に立ち会うことで買取価格に納得しやすい傾向にあります。九谷焼などの割れ物は、店頭に持ち込む時に傷や割れの恐れがあるので、あまりおすすめできません。持ち運ぶ時はしっかり梱包し、丁寧に持ち運ぶようにしましょう。
九谷焼を高く売るコツ
九谷焼を高く売るにはコツがあります。相見積もりをとることや、付属品をそろえておくことです。他にも高く売るためのコツがあるので、詳しくみていきましょう。
相見積もりをとる
相見積もりをとり、買取価格が高い店舗を見つけましょう。九谷焼はネットで簡単に相見積もりがとれるので、複数の買取業者に査定を依頼してみてください。業者を探すのが面倒という方には、一括査定サービスがおすすめです。ネットに九谷焼の作品名や作者などの情報を入力すると、複数の業者に一括で査定を依頼してくれます。一目で最高値の業者を見つけられるので、手間や時間がほとんどかかりません。
買取相場を知っておく
買取相場を知っておくと、安く買い叩かれる心配がなくなります。相場を知らずに査定を依頼すると、安い価格を提示されても気づけず買い叩かれることも。相場を知っておくと安い価格の買取店を断り、買取価格が高い店舗で売却できます。
できるだけ早く売る
価値がもっとも高いのは今です。九谷焼は紫外線や酸素の影響で次第に劣化していくので、自宅で保管している時間が増えると劣化が進行します。長期間保管しても価値が上がることはほとんどないので、なるべく早めに売却しましょう。
付属品をそろえておく
九谷焼には共箱や鑑定書、証明書などの付属品があります。高く売るにはこれらの付属品をそろえておくことが重要です。共箱には作者のサインがあったり、作成年月が刻まれていたりするので、それだけで価値を持つこともあります。コレクターや愛好家はセットで保有したい人が多いので、付属品がすべてそろった購入時の状態がもっとも高額です。
ヒビや欠けのある九谷焼も売れる?
ヒビや欠けがある九谷焼でも買取可能です。九谷焼は実用品ではなく、美術品や骨董品として展示する人がほとんどですので、多少のヒビや欠けがあっても価値があります。激しく損傷している場合でも作家や作品の価値によっては価値がつくことがあるのです。処分する前に一度査定を受けてみるのをおすすめします。思いもよらぬ価格で買取されるかもしれませんよ。
まとめ
高く売れる九谷焼は江戸時代に作られた歴史ある作品です。他にも人間国宝などの人気作家の作品は高価買取が期待できます。作家名や作品名が分からなくても、一度査定を受けてみると良いでしょう。買取専門店に持っていくと、専門知識をもった査定員が正しい価値を見極めてくれます。高く売るためには付属品をそろえておくことや、できるだけ早く売ることが重要です。ヒビや欠けがあっても売却できる可能性が高いので、まずは査定を受けてみましょう。思いもよらぬ価格に驚くかもしれませんよ。