着物基礎知識

卒業式には袴を着たい!着付けのポイントから料金相場までを総まとめ

袴は大学や短大の卒業式での定番衣装です。

しかし、着用シーンが卒業式に限定される着物なので、卒業式に袴を着たいと思っていても、いろいろ分からないこともあるのではないでしょうか?

そこで、今回の記事では卒業式の袴について、構造からレンタルや着付けの相場、当日の所作まで詳しく解説していきます。

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袴とは

明治、大正時代の女学生の制服がルーツとなっている袴は、大学や短大、専門学校の女性が卒業式に着る定番の衣装です。

袴にも、巫女さんが着る袴や、男性が着る袴などいくつかタイプがあり、それぞれ構造が少し違います。

男性や巫女さんが着る袴は馬乗袴(うまのりばかま)と呼ばれ、両脚の間にマチがあり、キュロットスカートのような構造です。

それに対し、女性が卒業式などに着る袴は女袴(おんなばかま)と呼ばれており、スカートのような形状をしています。

女袴に合わせる着物は、振袖か二尺袖が一般的です。

振袖の袖丈は100~110㎝なのに対し、二尺袖は76cm程と少し短くなっています。

袴の着付けの流れ

袴の着付けの手順と、各工程ごとのポイントを紹介します。

Step① 肌着を着る

まずは、裾除けと肌着を着ます。

着物を着たときに、着物から肌着が出てしまわないように、首回りは抜き気味には羽織ります。

肌着と裾除けの上下に分かれているものと、ワンピースのように上下つながっているものがありますが、どちらでも大丈夫です。

Step② 補正する

胴回りにタオルを巻き、ウエストのラインを筒形に整え、さらにヒップのくぼみにもタオルを当てます。

胸元は補正を厚めに入れ胸高にすることで若々しい印象に、ふくよかな胸の人は、和装ブラジャーを着けるか、ガーゼを巻きつけてボリュームを抑えます。

Step③ 長襦袢を着る

半衿はあらかじめ長襦袢に付けておきましょう。

半衿とは、長襦袢の衿の汚れを防ぐための布のことで、刺繍が入ったものや、色付きのものなどさまざまなタイプのものがあるので、好みに応じて選びましょう。

長襦袢の衣紋は普通の着物よりも抜きを控え、衿合わせは喉のくぼみよりも上の部分にします。これらの首回りの着付け方は若々しい印象を与えてくれます。

長襦袢の裾は袴から出ないように、普通の着物よりも短めに、ふくらはぎの中間くらいの丈がベストです。

Step④ 着物を着る

伊達衿を付けた振袖あるいは二尺袖を着ます。

半衿は2~2.5cmと通常より半衿を多めにせることで、華やかな若々しさを演出できます。

着物の裾の長さは、長襦袢よりも2~3cm程長い位置がベストです。

Step⑤ 半幅帯を結ぶ

半幅帯を一文字に胸のトップのすぐ下、高い位置で結びます。

一文字とは、文庫結びの羽を横に伸ばした帯結びです。

袴のひもを半幅帯の結び目に引っかけ固定します。

Step⑥ 袴をはく

ひだの多い方を前にして、袴を履きます。

袴のひもの位置は、半幅帯の上線よりも1~2cm程下がったところがベストです。

前ひもを文庫結びの上で交差させ、帯の羽の下に引っかけ前に回し、前でもう一度交差させたら後ろに回し、帯の下で結びます。

後側の袴は、ひもを帯の上に乗せて前に回し、左胸の下でリボン結びします。

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袴の着付けに必要なもの

袴の着付けには、以下のものが必要です。

  • 振袖or二尺袖
  • 長襦袢
  • 半幅帯
  • 伊達衿
  • 前板
  • 肌襦袢&裾除け
  • 腰ひも×4
  • 伊達締め×2
  • 衿芯
  • コーリンベルト
  • タオル、綿花、補正パット、ガーゼ
  • 草履orブーツ
  • 足袋(草履を履く場合)
  • バッグ

袴は着用頻度が少ないので、ほとんどの場合がレンタルです。

レンタルの場合には、着物や袴の他にも腰ひもや伊達締めなど着付けに必要な小物もワンセットになっています。

ただ、足袋や肌襦袢などはセット外のことも多いので、当日持参するものをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

自分の振袖を持っている人は、袴に合わせて着ることができます。袴だけレンタルすればいいので費用も抑えられますよ。

レンタルの方法と料金相場

袴は着物レンタルショップでレンタルできますが、レンタルショップの種類により相場が少し異なります。

レンタルの方法 料金相場
着物レンタルショップ(実店舗) 15,000~60,000円程
着物レンタルショップ(ネット) 9,800~40,000円程

上記の料金相場は、着物と袴、その他小物などを含めたセット価格です。

実店舗を持たないネットでのレンタルは、店舗の運営費や人件費などがかからない分割安になります。

レンタルの料金相場に幅があるのは、素材の質の違いによるもので、価格が安いものはポリエステルなどの化学繊維で織られたもの、価格が高いものは絹100%の正絹の着物です。

その他、作家もの、刺繍が豪華なものはさらに高額になります。

袴のみレンタルする場合は、3,000~10,000円程でレンタルが可能です。

実店舗とネット、どっちがいい?

実店舗を持つレンタルショップとネットショップ、それぞれのメリット、デメリットは以下のとおりです。

レンタルの方法 メリット デメリット
着物レンタルショップ(実店舗) 実物を見て選べる ネットより高め
着物レンタルショップ(ネット) 安い 実物を見てレンタルできない

ネットショップは、店舗にも足を運ばずに済み、手軽で安いのがメリットですが、当日まで実物を見ることができません。

到着後「思っていたものと違った」ということもあるかもしれないので、少し注意が必要です。

着付けしてもらえる場所と料金相場

袴の着付けはどこでしてもらえるのでしょうか?

袴の着付けをしてもらえる場所

袴の着付けをお願いできるところ、またそれぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

着付け場所の種類 メリット デメリット
着物レンタルショップ 着付け料込みプランがお得 ヘアメイクがないところも
美容院 着付けとヘアメイクがセットで便利 着付けスキルは個人差がある
出張着付け 衣装の持ち運びの手間がなくラク 別途ヘアメイクの手配が必要
別途出張料がかかる

着付けレンタルショップは、レンタル代に着付け料が含まれているケースが多いため、お得です。

美容院は、ヘアメイクと一緒に袴の着付けができ便利ですが、着付けのスキルには個人差があるため、口コミなどであらかじめ評判を確認しておきましょう。

それぞれのメリットデメリットを含め、総合的に判断した上で、自分のスタイルに合った着付け場所を選びましょう。

着付けの料金相場

袴の着付けのおおよその料金相場は、5,000~8,000円程、所要時間は30~40分です。

美容院の開店前に着付けをお願いする場合には、別途早朝料金がかかります。

また、出張着付けは、衣装の持ち運びの手間がない代わりに、着付け料プラス出張料がかかります。

袴姿の美しい所作

着崩れを防ぐためには、着付け後の所作も大切です。

普通の着物とは少し違う袴姿の立ち居振る舞いを紹介しましょう。

椅子に座るとき

袴姿で椅子に座るとき、そのまま腰掛けてしまうと、袴の後ろが引っ張られ、着崩れの原因になってしまいます。

座るときには、袴の両脇から後ろ側に手を入れて、裾を少し持ち上げ、浅く腰掛けます。

背筋をピンと伸ばすと姿勢もキレイです。

座席の背もたれにもたれかかってしまうと、帯結びが潰れてしまい、引っかけた袴のひもが取れてしまう危険性もあるので注意しましょう。

階段の上り下り

階段の上り下りの時には、袴の裾を踏まないように注意が必要です。

階段を上るときには、前側の袴の裾が階段に触れないように、袴の両脇から前側に手を入れて、袴の前を浮かせ、そのまま階段を上ります。

下りるときには、両脇から後ろに手を入れ、袴を少し持ち上げ階段を下りると裾を踏む心配がありません。

車の乗り降り

車に乗るときには、着物のときと同様、お尻から腰掛け最後に足を入れます。

袴の場合、腰掛けるときにはそのまま座らず、両脇から袴の後ろに手を入れ袴を上に持ち上げながら座ります。

降りるときは、足が裾に絡んでしまわないように、袴の両脇から前側に手を入れ、裾を持ち上げてから足を出し、降りましょう。

お手洗いのとき

しゃがんだときに裾が床に付かないように、まずは、袖の裾を帯の前側にはさむかクリップで留めておきます。

次に、袴を後ろ側までまくり上げます。その後、着物、長襦袢、裾除けと袴をくるみ込むようにまとめます。

お手洗いが終わったら、手を離し、軽く足踏みをすると元に戻ります。

このとき、キレイに直そうとするばかりに、裾を必要以上に引っ張ってしまうと、着崩れの原因になるので注意しましょう。

乾杯のときには袖口をつまむ

卒業式の後の謝恩会の乾杯のときにはグラスをあまり高く上げすぎるのはNGです。

胸ひもの下の着物が出てきてしまうと、ブカブカとたるみが出て着崩れの原因になってしまいます。

また、グラスを上げたときに袖口から腕や下着が見えてしまうのもマナー違反です。

乾杯のときには、もう片方の手で袖口をつまむと、肌着や腕が見えず所作もキレイです。

袴の着付けに関するQ&A

袴の着付けに関する疑問をQ&A方式でまとめてみました。

Q.袴の長さってどのくらいが理想的?

A.草履に合わせるならくるぶしの位置がベスト。

着物と違い、袴の長さは調節することができないため、適切なサイズのものを選ぶ必要があります。

袴の前紐の下線から裾までの長さを袴丈(はかまたけ)といいますが、草履に合わせる場合、袴丈はアンダーバストの5cm下から垂直にメジャーを下ろし、くるぶしくらいの位置までの長さがベストです。

Q.ブーツの場合は事前に相談すべき?

A.ブーツをはくかどうかで袴の丈が違ってくるので事前に相談が必要です。

ブーツを履く場合には、草履を履くときよりも丈を短めにすると、ブーツをアピールでき可愛く仕上がります。

袴を選ぶときには、当日草履を履くのかブーツを履くのかをレンタルショップのスタッフに伝え短めのものを選びましょう。

袴丈が短すぎ、ブーツの上から足が見えてしまうと寸足らずの印象になってしまうので、ブーツ全体が見えるか見えないかのギリギリの長さにするのが理想的です。

Q.振袖と二尺袖どっちがいいの?

A.どちらでも問題ナシ、好みに応じて選びましょう。

袴に合わせる着物を振袖にするか二尺袖にするかは、あくまでもそれぞれの好みです。

近年の全体的な傾向としては、振袖が30%、二尺袖70%と二尺袖の割合が高めです。

これは主に以下の理由が考えられます。

  • ワンセットでレンタルする場合には、ほとんどが二尺袖がセットになっている
  • 二尺袖は袴のときにしか着る機会がないから

見た目のイメージとしては、振袖は豪華な印象、二尺袖は若々しくカジュアルな印象に仕上がります。

まとめ

袴は学生の卒業式の定番衣装です。

着用頻度が低い着物ですが、大切な場面で着用するものですよね。

着付け師さんにおまかせするばかりでなく、着付けの流れやポイントを頭に入れて確認しながら着付けてもらうと安心です。

当日は、おしとやかに、着崩れを防ぐ美しい所作で晴れの日を思う存分楽しみましょう。