着物基礎知識

久留米絣とは?特徴や歴史、見分け方から買取相場まで総まとめ

広島の備前絣、愛媛の伊予絣と並び、日本三大絣のひとつである久留米絣。

江戸時代からある素朴で味わい深いその織物は、多くの人に愛され続けています。

今では着物に限らずさまざまなアイテムにも使われていて、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

今回は、そんな久留米絣の特徴や歴史、久留米絣の見分け方や買取の際のポイントなどについてご紹介します。

久留米絣の特徴

絣といえば久留米絣というほど有名な織物である久留米絣は、その美しい藍色が印象的ですね。

素材が木綿なので肌触りも良く、季節を問わずに着ることができるもの人気の理由のひとつ。

そんな久留米絣が持つ特徴をくわしく解説していきます。

熟練の技が必要な手括り

久留米絣の大きな特徴は、手括り(てくくり)と呼ばれる技法を用いて糸を染めることにあります。

糸を染める前に、糸の束を手で括ることから、この名が付きました。

手括りには熟練の技が必要不可欠です。

染めの工程で糸がほどけないようにしっかり括り、糸を取るときには生地を傷つけないよう細心の注意を払わなければなりません。

久留米絣では、機械には出すことのできない風合いを大切にしており、現在もこの工程を機械に頼ることなく手作業で行っています。

鮮やかな藍色

天然かつ純正の藍を使用することが大前提である久留米絣は、その藍色の鮮やかさが特徴です。

混ざり気のない藍色は大変美しく、その唯一無二の色合いが多くの人を魅了する大きな理由です。

天然藍を発酵させ糸染めをするという伝統的な染色技法によって、糸そのものの質感や風合いを損なうことなく美しく染めあげることができるのですね。

久留米絣の歴史

200年以上の長い歴史がある久留米絣。

多くの工程と手間暇のかかった久留米絣には、どのような歴史があるのでしょうか。

少女の発案がきっかけ

久留米絣の始まりは、1800年頃と言われています。

その当時、13歳の井上伝(いのうえでん)という少女が発案しました。

伝は1788年に米穀商を営む家に生まれ、7歳の頃から織機を習い始めます。

13歳の頃、伝は着古して色あせた着物にある白い斑点模様を発見。

どのように織られているのかが気になり、布を解いてその織り方を分析しました。

それをきっかけに、彼女は現在の久留米絣の原型となる独自の絣の図案を考案します。

庶民の衣服として愛される

図柄や文字を自由に表現する絵絣(えがすり)という技法を生み出した大塚太蔵や、小絣と呼ばれる久留米絣特有の繊細かつ緻密な柄を考案した牛島ノシ。

多くの人々の工夫とアイディアで、久留米絣は発展していきました。

久留米絣は筑後地方の久留米を中心に、農家の副業としてたくさんの家で織られました。

その後、明治より後には庶民の衣服と、全国各地で愛されるようになります。

久留米そろばん踊り

明治になると、全国各地から筑後地方に多くの商人たちが買い付けに訪れていました。

その商人たちが、農家の娘たちが機織りをしながら口ずさんでいた労働歌を聞き、宿屋で芸者とともに楽しんだと言います。

その際に、機織りの音を商売道具であるそろばんで再現したことから「久留米そろばん踊り」が始まりました。

1972年からは「水の祭典久留米まつり」では踊りの振り付けもされ、毎年この祭りでは久留米そろばん踊りが多くの人によって踊られています。

現在はさまざまな商品を展開

伝統的な使用方法にとらわれず、久留米絣は様々な新しい商品を作り出しています。

洋服やストール、帽子、傘、バッグやスニーカー、ハンカチや小物入れ、財布など、その種類は多岐にわたります。

また、久留米絣のブランドgi(ギィー)は倉敷帆布の老舗梅石(バイストン)とコラボをしてトートバッグを作りました。

セレクトショップ「ビームス」ともコラボレーションして新しいブランドを立ち上げるなど、その広がりは留まるところを知りません。

久留米絣の人間国宝

久留米絣には、何名かの重要無形文化財技術保持者の方がいらっしゃいますが、ここではその中でも特に有名なお二人をご紹介します。

松枝玉記氏

1905年福岡県三潴郡に生まれた松枝氏。

松枝家は、1882年より久留米絣の染めと織を行う織屋でした。

そのため、幼い頃から手ほどきを受けていた松枝氏は、1922年には本格的に久留米絣の修練を始めます。

修練の最中には養父である栄の元で、1日1枚の絣の図案を書くことを日課にしていたと言います。

1927年に修行を終えた松枝氏は、父親の跡を継ぎ藍染を専門としました。

1957年に久留米絣が国の重要無形文化財に指定された際、久留米絣藍染の技術保持者として認定されます。

大柄で詩的な絵画的文様と、藍色の濃淡を自在に操る優れた技術で独特の世界観を築きあげました。

森山虎雄氏

森山氏は、1909年に福岡県八女郡生まれ。

家業は久留米絣で、その当時すでに100年近く久留米絣を続けていた三代目として、幼い頃から見よう見まねで家業の手伝いをしていました。

16歳からは本格的に修行に入り、1952年に久留米絣で重要無形文化財技術保持者に認定されます。

多くのコンクールに作品を発表し、たくさんの賞を受賞。

精力的に作品を作る傍ら、後継者育成や技術保存にも力を入れていた森山氏は、数多くの優れた人材を育てました。

男物の細かな柄があしらわれた藍染が得意で、中でも渋い色合いの蚊絣を十八番としていました。

久留米絣の着用シーン

現在では伝統的な文様から、モダンなスタイルの柄までさまざまな織物が作られ続けている久留米絣。

どのような場面で使用することで、より一層その魅力を引き出すことができるのでしょうか。

モダンな柄で洋風テイストを取り入れて

つぎつぎと新たな文様が生み出されている久留米絣。

ドット柄やチェック柄など、着物の柄としては斬新なものが多く作られています。

そんな柄の着物には、やっぱり少し洋風なテイストを入れて遊んでみたいですよね。

帽子やブーツ、半衿にレースを使ってみたり、かわいいショルダーバッグを提げてみたり。

アレンジの方法は着る人の数だけあります。いつもとは少し違った装いで、ちょっとした非日常感を味わってみてはいかがでしょうか。

伝統的な柄でちょっとしたお出かけに

落ち着いた色合いとやんわりとした柄が、どんな場面にもマッチします。

大人しくなりがちな雰囲気を、鮮やかな帯を使うことで印象的にしてみたり、モダンな柄の着物と帯を合わせてシックに決めてみたり。

ちょっとしたお出かけに、遊び心を効かせてみるのも面白いかもしれませんね。

久留米絣の見分け方。証紙やマークを確認!

1957年に国の重要無形文化財として指定された久留米絣には、それを証明するための証紙が付いています。

証紙は、その織物が久留米絣であるということの揺るぎない証明になりますので、大切に保管しておくことが重要です。

色で分けられた証紙

画像引用元 : 久留米絣協同組合

国の伝統工芸品として経済産業大臣の指定を受けている久留米絣は、久留米絣協同組合から発行される証紙が貼付されています。

緑色の証紙は、その織物が全ての工程を手作業で行った久留米絣であることを表しています。

黄色の証紙は、その織物が機械でおられた久留米絣であることを表しています。

金色で横に楕円形の形をして「検査之証」と書かれているものが、久留米絣技術保存会から発行されている証紙です。

横長の長方形で、赤地に白い枠が付いて「重要無形文化財」と書かれたものが、久留米絣技術保存会から発行されている証紙になります。

なお、機械で織られた久留米絣は、伝統工芸品には指定されていません。

伝統工芸品マーク

画像引用元 : 伝統工芸品産業振興協会

伝統工芸品のシンボルマークである伝統マークは、経済産業大臣が指定した原材料・技術・技法で制作されたのち、厳しい産地検査に合格した商品にのみ貼られる伝統証紙です。

この伝統証紙は、その商品が経済産業大臣指定伝統的工芸品であるということを証明するものです。

買取をする際には、必ず久留米絣の証紙とともに一緒に業者に提出しましょう。

久留米絣の買取相場と口コミ

いざ買取をしようとしても、意外とどうすればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。

買取の相場や、口コミ情報を事前に知っておくことで、安く買い叩かれてしまったりしてしまうのではないかといった不安を取り除いておきましょう。

買取相場

手織りの久留米絣で、なおかつ証紙が付いているものの買取相場は、一般的に1万円〜とされています。

だたやはり、これも美中古品が基準になっているので、品物によって買取価格には幅があります。

機械織りの久留米絣 3,000円〜
手織りの久留米絣 10,000円〜
松枝玉記氏などの有名作家 100,000円〜

久留米絣を買取に出すときは、証紙を提出することがとても重要です。

証紙がない場合には、買取価格は低くなってしまうことがほとんどです。

証紙があるとないとでは、買取価格に大きく差が出ることを忘れないようにしましょう。

また、買取業者は着物専門の業者を選びましょう。

リサイクルショップやオークションなどでは、ちゃんとした価格で買い取ってもらえない場合があります。

きちんと手入れをして保存をしていても、着物は時間が経てば経つほど劣化をしてしまいます。

手持ちの着物を売ろうと考えているのであれば、できるだけ早く売るようにしましょう。

実際に買取を行った人の口コミ

それでは、実際に買取に行った人たちの口コミを聞いてみましょう。

タンスにロールで残っていた久留米絣の反物を買取に出しました。証紙が付いていて、手織りということだったので、1万7千円で買い取ってもらいました。概ね満足してます。
おばあちゃんからもらった、久留米絣の着物を売りました。私は一度も着たことがなく、おばあちゃんも綺麗に着ていたみたいで、6千円でした。捨てるよりはマシかなと思いました。
人間国宝の、森山虎雄さんのお着物を買い取っていただきました。保存状態も良く、証紙も全て付いておりましたので、買取価格は10万9千円でした。

平均買取相場が美中古品で1万円ということで、手織りで証紙付きの久留米絣は、思っていたよりも高くで買い取ってもらえた人が多いようですね。

つぎつぎと新しい分野に進出している久留米絣ですから、もしかしたらこれから価格が高くなっていくかもしれません。

口コミでわかったことは、とにかく証紙が重要であるということと、状態が良いことにこしたことはないということです。

査定をしてもらう時には、必ず証紙を一緒に提出しましょう。

まとめ

伝統工芸品である久留米絣は、その柔らかな印象と着心地の良さで根強い人気を誇る織物です。

かすれたような柄が独特の雰囲気を醸し出す久留米絣は、1年を通して着ることができるのも大きな魅力ですね。

久留米絣は愛好家の多い着物ですので、着なくなったり処分しようと考えているときは、捨ててしまったりせずに買取業者に引き取ってもらうことをお勧めします。

エコな時代ですから、自分には必要なくても他の人には必要なものになるかもしれません。

そう考えると、手放してしまうことも素敵なことに思えてきますね。