着物基礎知識

着物クリーニングの値段を徹底比較!丸洗いからオプションまで。

お気に入りの着物や思い入れのある着物は、キレイなまま長く大切に着用し続けたいものです。そこで大切になってくるのが着物のメンテナンスの一つ着物のクリーニングです。

しかし、実際に着物をクリーニングに出そうと思ったときに、
「一体どこに出せばいいの?」
「費用はどれくらい?」
このような疑問や心配も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は着物のクリーニングについて、

  • どこに持ち込んだら良いのか
  • 実際のクリーニングの工程
  • クリーニングの相場
  • その他のオプション

などについて分かりやすく解説していきます。

着物のクリーニングについての知識を正確に身に着けて、さらに快適な着物ライフを手に入れましょう。

着物専門クリーニング店がおすすめ


着物のクリーニングは、何といっても着物専門のクリーニング店がおすすめです。普通のクリーニング店や呉服屋のクリーニングとは何が違うのでしょうか?

普通のクリーニング店は?

一般的な街のクリーニング店へ持ち込まれるのは、ほとんどが洋服です。もちろん街のクリーニング店でも着物のクリーニングも取り扱っていますが、着物を取り扱う実績が極端に少ないため、店舗のスタッフも着物の知識に乏しいのが現状です。

同じクリーニングでも、洋服と着物とではクリーニングの方法や注意する点などにも違いがあるため、着物を洋服と同じようにクリーニングしてしまうと以下のようなトラブルが起こってしまう事もあります。

  • 生地が縮む
  • 金箔や刺繍などが劣化する

また、街のクリーニング店に持ち込まれたほとんどの着物は、その後着物専門のクリーニング店に外注されます。一度「街のクリーニング店」という中間業者を挟む事により、次のようなデメリットが発生するため注意が必要です。

  • 仕上がりまでに何カ月もかかる
  • 見積りが出るまでに時間がかかる

更に、クリーニング店がどの業者に発注するのかは、利用者にはもちろん伝えられる事は無く、その外注先が信頼のおける業者なのか確かめる事もできません。そのため、出来上がってから「予想した仕上がりと違ってがっかりした」などという事も起こりがちなので、あまりおすすめはできません。

呉服店は?

そもそも呉服店の目的は「着物を販売する」ことです。したがって、着物の産地や、原料など着物そのものについての知識は豊富ですが、クリーニング、メンテナンスに関する知識を正確に持っている所は多くありません。

呉服屋さんの中には、自社でクリーニングを行っているところもありますが、数は少なく、ほとんどが街のクリーニング店と同じように、着物専門のクリーニング店へ外注委託されます。

そのため、やはり「呉服店」という中間業者を挟んでしまう形となります。相手が見えず、出来上がりまでの時間がかかり、直接自分の要望が伝わりにくいというデメリットが出てきてしまいます。

そうは言っても、着物へのの専門的な知識は街のクリーニング店に比べれば各段に高いのも事実で、古くからやり取りのある良心的なお店の場合は、幾分安心度も高いでしょう。

着物専門クリーニング店が安心!

着物専門のクリーニング店は、いわば着物のクリーニングのプロです。着物のクリーニングのことはその道のエキスパートに任せるのが一番安心です。

依頼時に、現物を目の前で直接職人さんに見てもらう事によって一つ一つ違う着物の状態を正確に見極めて、以下のような様々なニーズに対応してくれます。

  • 一般的な着物クリーニングだけでよいのか
  • しみ抜きも必要か
  • 丸洗い、しみ抜きで取れなかった場合の他の加工についての提案
  • 汗抜きや、カビ取りは大丈夫か
  • しみ抜きが広範囲になる場合、どの程度まで(見える部分?隠れる部分も?)

着物のクリーニングに特化した職人が、豊富な経験に裏打ちされた確かな技術で、利用者の様々な要望に一つ一つ丁寧に応えてくれるところもメリットの一つです。

更に、「街のクリーニング店」や「呉服屋さん」という中間業者も挟まない分、仕上がりも早くなるのも嬉しいポイントです。

着物専門クリーニング店での丸洗いの工程

着物のクリーニングを行う際に「丸洗い」という言葉をよく耳にします。着物の丸洗いとは、着物をほどかずにそのまま洗う方法です。ドライクリーニングの技術を応用して、水を一切使わず、着物用の有機溶剤を使って洗います。

丸洗いは、一般的には以下の工程で行われます。

  1. 着物全体のシミ、汚れのチェック
  2. 仕立てのほつれ、生地の傷みをチェック
  3. 下洗い(衿、袖口の汚れ、汗の成分などを落とす)
  4. 専用の有機溶剤でクリーニングする(機械or手洗い)
  5. 乾燥
  6. プレス仕上げ

丸洗いは、着物の全体的な汚れや、ファンデーションや皮脂汚れなどの油汚れに有効です。

クリーニング店によっては、下洗いを行わないところもあります。この下洗いを省いてしまうと、一番取りたい衿や袖口、汗などの汚れが残りやすくなってしまうため、着物の丸洗いを依頼する場合には、「下洗い」を行っているかどうかを必ず確認しましょう。

また、以下のような着物は丸洗いができません。

  • 着物の金箔が劣化している
  • 刺繍部分の糸がほつれている
  • 豪華な刺繍や金箔がある着物

上記のような状態の着物は、着物の劣化が進んだり、手の込んだ装飾が痛んだりしてしまう恐れがあります。このような場合は、一度着物専門のクリーニング店に現物を持込み、丸洗いできるか、できなければどんな方法があるのか等を相談しましょう。

着物専門クリーニング店の値段比較


着物のクリーニングで次に気になるのがクリーニング費用です。

ここでは、実店舗を持つ業者と、ネットで申し込みを行う宅配クリーニング店の丸洗いの価格を2社ずつ挙げて比べてみましょう。

店舗名 きもの辻 京な きものtotonoe kimono5298
業態 実店舗   出張回収  宅配 実店舗  出張回収 宅配 宅配
丸洗い料金 振袖 13,200円 11,000円 7,200円 3,300円
留袖 13,200円 12,000円 7,200円 3,300円
訪問着 9,900円 9,000円 7,200円 3,300円
期間 1か月 1か月 3~4週間 45~55日

上の表を見ても分かる通り、価格帯は様々です。また、着物の種類ごとに値段設定が異なるところ、一律のところもあります。

こうして比べてみると、実店舗を構える業者よりも、ネットや電話などで申し込める宅配クリーニングの方が価格が安い傾向にある事が分かります。

特定の汚れにはオプションが必要

丸洗いを行っただけでは、取り切れなかった汚れは、しみ抜き・カビ取り・汗抜き等の処理を行うのがおすすめです。

しみ抜き

しみ抜きは、丸洗いで取りきれなかった変色やシミ等を元の状態に戻す作業です。

「着物のしみ」と一口でいっても、「醤油」「ワイン」「血液」「口紅」等しみや汚れの原因は様々です。熟練の職人がそれぞれの汚れの成分に対して適切な種類の染み抜き剤を使用して、しみを落としていきます。

また、そのシミが「付いてすぐの汚れなのか」「長年放置されてしまったしみなのか」によって対処の仕方も汚れを落とす難易度も違ってきます。

汚れが付いてすぐのしみ

成分を見極める経験と知識、しみ抜きの技術はもちろん必要ですが、成分に合わせた染み抜き剤を使用すればほとんどのしみは落とすことが可能です。

シミの大小や数量によっても違いはありますが、相場はおおよそ3,000~5,000円程です。

長年放置されてしまったもの

付いてしまった汚れに気づかず、長年放置してしまったものや、汗しみが黄色く変色してしまったものは、生地自体が変色してしまっている可能性があるため、しみ抜き剤を使用してもキレイに元通りにはなりません。

そのような場合には以下のような加工を行い、元の状態に近づけます。

  • 染色補正(1か所500円~)
  • 柄足し(10cm四方5,000円~)
  • 金彩加工(11,000円~)

染色補正とは、生地自体が変色してしまった部分を、生地の染料ごと漂白し、再び同じ色を入れる事で、周りの柄や雰囲気を壊さず新品同様に加工する技術の事です。この作業は「染色補正士」という染めのエキスパートが行う大変高い技術です。

柄足しは、しみになっている部分に、直接柄を描き足ししみを目立たなくする法です。こうすることで、着物自体も華やかにすることができます。

金彩加工は、金や銀の粉を着物の上に乗せたり、金箔を貼り付けたりする加工です。しみを目立たなくするのはもちろん、着物自体も豪華なイメージに仕上がります。

ただし、これらの加工は、熟練の職人の高度な技術と手間を要するため、その分費用も格段に高くなってしまいます。そうならないためにも、シーズンごとの定期的なチェック、着用後のしみの確認などを必ず行いましょう。

カビ取り

カビ取りは、着物に付いてしまったカビを取り除く作業です。

カビは、高温多湿(温度20~30度、湿度60%以上)、またタンパク質を好みます。定期的な着物の虫干しや、乾燥剤の入れ替え、また着物一枚一枚をたとう紙で包んでいないなど適切なメンテナンスを行わないと、カビが生えやすくなるため注意しましょう。

着物の表面に白いカビが発生してしまった場合や、着物全体がカビ臭くなってしまっているものは、着物専用の溶剤を使ってブラシやタオルなどを使い洗います。更に生地の消毒を行う事でカビ菌を取り除きます。

カビ取りの料金は10,000~13,000円程です。

しかし、カビが原因で生地が黄色く変色してしまったり、色落ちしてしまっている場合は、それを完全に取り除くことは難しいので、先ほどのしみ抜きの部分で触れた染色補正・柄足し・金彩加工などを行います。※費用は染み抜きの部分参照

汗抜き

汗抜きとは、その名の通り着物に付着した汗の成分を取り除く作業です。汗の残りやすい脇や背中の部分に水をかけて洗います。

着物着用後、着物ハンガーなどに吊るして2~3時間干すことで湿気は取り除くことができますが、塩分やアンモニアなどの汗の成分は着物に残ってしまいます。これを長年放置してしまうと、着物地自体が黄色く変色する「黄変」の原因になるので気を付けましょう。

着物の変色を防ぐためにも汗抜きは大切です。特に暑い夏の時期などに、着物を着用し「汗をたくさんかいてしまった」という自覚がある場合は、丸洗いとセットで「汗抜き」も行うと良いでしょう。

汗抜きの費用は、おおよそ3,000~5,000円程です。

嬉しい便利なオプションも!

着物のクリーニングと一緒に、嬉しい便利なオプションも検討してみましょう。

半衿つけかえ

半衿とは、長襦袢の首回りに付ける衿の事です。長襦袢の衿の部分は肌に密着する部分なので大変汚れやすく、汚れたら付け替える必要があります。

また、半衿には、スタンダードな白地のものから、柄や刺繍の入った豪華なものまで様々あり、TPOに合わせても付け替えます。

自分で付け替えることももちろん可能です。しかし、裁縫の腕に自信がなかったり、忙しくて時間が取れない場合は、着物のクリーニングのついでに有料でお願いすることもできます。

費用は業者によりまちまちですが、1,000~2,000円程の価格帯のお店がほとんどです。

撥水加工

撥水加工とは、着物の生地に撥水性を持たせるための加工で、「○○ガード」や、「ガード加工」などネーミングは各社様々です。

着物は湿気に弱く、特に絹の着物は水分を含むと生地が縮んだり、輪ジミができてしまいます。撥水加工を行うことで万が一水分が着物に付着しても、生地の上で水滴となって転がり、生地への水分の浸透を防いでくれ、汚れも落としやすくなります。

撥水加工をしても、着物の生地の風合いや通気性に変わりはありません。

撥水加工のほかにも「防水加工」といわれるものがあります。これも同様に水から着物を守ってくれますが、生地の表面に防水用の膜をはるイメージで、加工後は生地自体がゴワゴワして、通気性も悪くなってしまいます。

撥水加工の価格は、6,000~14,000円と各社様々です。

パールトーン加工

パールトーン加工は、撥水加工の中でも特に歴史が古く、昭和4年に(株)パールトーン社が開発した撥水加工技術です。

雨や飲み物などが万が一着物に付いても、水玉になり布の上でコロコロと転がります。また、皮脂や油性の食べこぼしなどの汚れも付着しにくく、拭き取りやすいのが特徴です。

着物の表面ではなく、繊維一本一本に撥水効果が浸透するので、着物の通気性や、風合いは変わりません。更に、保管中のカビからも着物を守ってくれます。

一度パールトーン加工を行えば、その効果は半永久的に持続します。しかし、パールトーン加工を施した後、パールトーン以外の業者に丸洗いを依頼すると、加工の効力が弱くなってしまうため、アフターケアについてははパールトーン社に相談しましょう。

パールトーン加工の費用は以下の通りです。

  • 黒留袖:18,700円
  • 振袖:18,700円
  • その他の着物(訪問着、小紋等):18,700円

蒸気や湿気など、分子の細かいものには多少弱く、高温多湿な所では着物自体に湿気が溜まり生地が縮んでしまう可能性もあるため万全とは言えません。パールトーンをしたから大丈夫と過信せずに、虫干しや乾燥剤の入れ替えなど、メンテナンスはしっかりを行いましょう。

着物クリーニングに出すタイミングは?

汚したらできるだけ早く

着物を汚してしまった!と思ったら、できるだけ早く着物専門のクリーニング店に依頼しましょう。

汚れたまま着物を放置してしまうと、しみが生地の中まで入り込んでしまい、その分汚れも落としにくくなります。

対応が早ければ早いほどシミがきれいになる確率も高く、費用も安く済ませる事ができます。また、クリーニングやしみ抜きを依頼する際に、「どんな汚れがついてしまったのか」心当たりがある場合は、そのことを伝える事でより適切な処置をしてもらいやすくなります。

シーズンごとがおすすめ。夏は特に!

着物のクリーニングは、着物着用ごとに行う必要はありません。

頻繁にクリーニングをすることにより、逆に着物地が縮み、袷(裏地の付いている着物)の場合は、裏地と表地のバランスが悪くなり、裾がもたつくいわゆる「袋」の状態になりやすくなってしまいます。

着用後、特に目立ったシミがない場合は、着物用のハンガーに掛け、日の当たらない風通しの良い所で数時間干し、湿気を飛ばし保管しましょう。「シーズンが終わったらクリーニングに出す」など、上手にクリーニングを活用しましょう。

また夏の時期は、汗をかきやすいため、「大量の汗をかいてしまった」と思った場合はら、着物のクリーニング店に相談することをおすすめします。

着物の状態を見て、適切なメンテナンス方法をアドバイスしてくれるクリーニング店を見つけると良いでしょう。

まとめ

着物のクリーニングは、着物専門のクリーニング店にお願いするのが一番です。

一枚一枚違う着物の状態を見て、適切なメンテナンスの方法をアドバイスしてくれる「着物クリーニングのお得意さん」を作って、思い入れのある大切な着物をキレイに長持ちさせましょう。