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骨董品の買取

骨董品・古美術品のお手入れ方法とは?種類別にご紹介

骨董品や古美術品は、丁重に扱わなければ価値を損なってしまいます。保管方法だけでなく、メンテナンス方法もしっかり把握しておく必要があるのです。

この記事では、代表的な6種類の骨董品・古美術品の正しいお手入れ方法について詳しく紹介していきます。

また、日常的に注意することや、汚れを落とすための対処法についても解説しますので、大切な骨董品・古美術品の保管時に役立ててください。

骨董品・古美術品のお手入れ方法は種類によって違う

骨董品や古美術品は、ただ保管しておけばいいというわけではありません。こまめなお手入れをしなければ経年劣化してしまうものです。

また、骨董品ごとにお手入れ方法は異なります。形状や材質などが異なるため、ダメージを与えないよう注意しながら、最適な方法でメンテナンスしなければなりません。

以下の骨董品・古美術品は特にデリケートなので、正しいお手入れ方法を把握しておくべきでしょう。

  1. 茶釜・鉄瓶
  2. 漆器
  3. 銀器
  4. 銅器
  5. 絵画
  6. 掛け軸

ここからは代表的な6種類の骨董品・古美術品の特徴や、お手入れ時の注意点について詳しく解説していきます。

茶釜・鉄瓶のお手入れ方法

茶釜や鉄瓶は、骨董品・新品に関わらず同じ方法で手入れをおこないます。鉄製品は、使っていくうちに錆が発生するのが特徴です。

新品なら内側に錆防止のコーティングが施されているケースも多いですが、骨董品の場合は錆び対策が必須となるでしょう。錆を放っておくと、まず水漏れが発生します。そのまま放っておくとさらに進行し、最終的に脆くなった底面が抜けてしまうのです。

本体に穴が開いてしまった場合は、専門業者に修理に出すしかありません。しかし、業者でも修復が難しいケースも存在するため、定期的に錆び取りしながら使う、あるいは保管することが好ましいとされています。

茶釜・鉄瓶は何でできているか

茶釜・鉄瓶の原材料は鉄です。

鉄器職人の中には、わざわざ古銭を溶かして茶釜を作っている人もいます。それだけ古いものは価値があり重宝されているのです。

さらに、茶釜や鉄瓶の価値は、骨董品・美術品としてのものだけではありません。

京都などの伝統料理を扱う飲食店では、人間国宝の茶釜を使ってお湯を沸かし、お茶や白湯を提供しているところもあります。鉄器で沸かすことにより、お湯がまろやかになり美味しくなるためです。

また、茶釜や鉄器で沸かした白湯やお茶は、鉄分が摂れるメリットがあります。しかし、現代の南部鉄器などは、扱いやすいよう内側に漆のコーティングがされているため、鉄が溶け出すことはありません。

お湯で何度も沸かすのが大事

購入後は、茶釜・鉄瓶を使って何度かお湯を沸かすことが大切になります。

骨董品の多くは既に錆が発生しているケースもあるでしょう。その場合は「さつまいも」を輪切りにしたものを一緒に煮ると効果的です。

錆び取りは以下の流れでおこないましょう。

  1. 長時間煮込むと錆びが浮いてくるので、お湯を捨てて自然に冷めるまで待つ
  2. その後たわしで優しく磨く
  3. また、日々のお手入れ方法は以下
  4. お湯を沸かした後中身を空にする
  5. 布で内側を乾拭きする
  6. お湯を沸かした場所(ゴトクやIHなど)に戻し、余熱で乾かす

また、日々の手入れをおこなう中で再度錆が気になってきた場合は「茶殻」を使うのもおすすめです。茶殻には錆び防止効果があるので長持ちしやすくなるでしょう。

錆びを浮かして取りたい場合はさつまいも、現状維持したい場合は茶殻を入れてお湯を沸かし、定期的にメンテナンスするようにしてください。

お手入れの際にしてはいけないこと

茶釜・鉄瓶の手入れをおこなう際にしてはいけないことは以下の通りです。

  1. 食器用洗剤などで洗うこと
  2. たわしなどで強くこすること

むやみにこすってしまうと傷がつき、脆くなってしまいます。鉄製だからといってゴシゴシ洗浄するのはNGです。

漆器のお手入れ方法

漆器はお手入れが難しいといわれている骨董品の1つで、極度な乾燥・湿気に弱いのが特徴です。木に漆を塗ってコーテイングしているため、急激な温度変化で表面の漆に割れやヒビができてしまいます。

また、木で作られているため硬度が低く、凹みや傷がつきやすい骨董品です。ダメージを修復するには塗りなおしが必要になりますが、酷い場合は修復できないので扱いには十分注意しましょう。

お手入れ方法は以下の通りです。

  1. 柔らかいスポンジで洗う(台所用中性洗剤の使用OK)
  2. 陶器などの硬いものと分けて洗う(傷つくことを防ぐため)
  3. 洗い終わったら柔らかい布で拭き上げをする(自然乾燥を避ける)

陶器と一緒に洗うと傷がつく可能性があるため、可能であれば別々に洗いましょう。また、付け置き洗いはNGです。洗い終わったあとは自然乾燥せずに拭き取ったほうが長持ちします。

特に蒔絵などが施されている高価なものは丁重に扱いましょう。繊細なので、拭くときだけでなく洗うときもガーゼなどの柔らかい布を使うことをおすすめします。

漆器は使うほど色艶が増す

漆器は長年使うことで美しい光沢が生まれ、艶が出るという性質を持っています。

極度の乾燥を嫌うため、長期保管する際は水の入ったコップを食器棚に置くなどの細やかな気遣いが必要です。日々の生活で使って適度に水を含ませるほうがいい艶が出て、保管の手間もかかりません。

使い続けることが漆器の一番いい保管方法なのです。

扱うときの注意点

漆器を扱う際は、下記に注意することをおすすめします。

  • 直火・レンジ・オーブンで加熱しない
  • 冷蔵庫に入れない
  • 水分に触れている状態で長時間放置しない
  • お酢・油ものなどの保存容器には向かない

熱いものを入れて使うのは問題ないのですが、急激な温度変化に弱いため加熱はしないようにしましょう。日常使いしている場合は、特に気を付けてください。

沸騰したてのものもNGです。可能であれば、一度ぬるま湯に通して器を温めてから使うと温度変化を緩やかにできるでしょう。

また、冷蔵庫に入れるのもあまりよくありません。低すぎる温度保管は漆器を乾燥してしまいます。料理をしてから食事までの短期間保管しておく程度なら問題ありません。

銀器のお手入れ方法

銀食器・銀製品は光沢が美しく、高級感が魅力の骨董品です。しかし、美しさを保つためには、小まめなお手入れが必要になります。

銀は、空気や硫黄などに触れると化学反応を起こして黒ずんでしまう性質を持っています。時間経過とともに自然と変色してしまうのです。

銀器のお手入れには、使用後すぐに洗う、こまめに黒ずみを取るなどの配慮が欠かせません。

使用後はすぐ洗うことが大事

銀器を綺麗な状態で長期間保管するためには、使った後にすぐ洗うことを心掛けてください。食材に含まれている様々な成分が黒ずみを引き起こす要因になるためです。

特に、卵や玉ねぎには銀の変色を促す硫黄が含まれているため、使ったら放置せずすぐに洗いましょう。洗い方は以下の通りです。

  1. まずはぬるま湯ですすぐ
  2. 食器用洗剤をつけたスポンジで優しく洗う

すぐに洗ってしまうと、付着した汚れをこする際に銀器を傷つけてしまうため、必ずぬるま湯ですすいでから洗うようにしてください。

お手入れの際にしてはいけないこと

銀器をお手入れする際には、以下をおこなってはいけません。

  • 漂白剤・クレンザーをつかう(傷がつく・ツヤがなくなる)
  • 練り歯磨きなどで磨く(細かい傷がつく)
  • 食洗機で洗う(傷がつく・専用洗剤でシミになる)

練り歯磨きなどは塩や研磨剤が入っているため、銀器に細かい傷がついてしまいます。また、食洗機も食器同士がぶつかり合ったり、食洗機専用の洗剤でシミになってしまうためおすすめしません。

黒ずみを取るには重曹がよい

銀器のお手入れは下記の方法でおこないましょう。

  1. プラスチック容器の底にアルミ箔を敷く
  2. 銀器を重ならないように置き、浸るくらいの熱湯を入れる
  3. 重曹を熱湯に入れる(1リットルにつき大さじ1杯)
  4. 冷めるまで放置する
  5. 銀器を取り出し、すすいでからしっかり拭き上げる

重曹は銀器だけでなく、マグカップなどの茶渋や水垢も落とせるメリットがあります。汚れが気になるものを一緒に手入れすることも可能です。ただし、何年もこびりついているような汚れを落とすのは難しいかもしれません。

また、アルミ箔と塩で煮込む方法もあります。

  1. 油汚れなどを中性洗剤などで洗い流す
  2. 水を入れた鍋を火にかける
  3. 塩をスプーン1~2杯、適当な大きさのアルミ箔を鍋に入れる
  4. 沸騰したら黒くなった銀器を入れて一緒に煮る(5分程度)

鍋に入れる水は、お手入れする銀器が完全に浸かる水量を入れることがポイントです。アルミ箔の分量は適当で問題ありません。銀器の黒ずみをアルミ箔が吸着してくれるため、アルミ箔を取り出すと黒く変色しているはずです。

銅器のお手入れ方法

銅は熱伝導に優れ、殺菌効果の高い材質です。食品にまんべんなく火を通せて料理が美味しくできることから、古くから調理器具や台所用品に重宝されてきました。

ただし、酸や塩素に弱いため、調理器具の場合は料理を長時間入れておかないよう注意する必要があるでしょう。

また、銅も銀同様に自然と変色します。銅の場合は空気や水に反応して「酸化被膜」が発生することにより、黒っぽいブロンズに変色するのが特徴です。

ただし、これは汚れではなく銅が自身を保護するための膜であり、実は劣化ではありません。緑青(ろくしょう)と呼ばれる青錆の発生を防ぐための作用です。

基本的なお手入れ

銅器の基本的なお手入れ方法は以下の通りです。

  1. 油汚れを落とすため、中性洗剤を混ぜたお湯に浸けておく
  2. お湯が冷めたらスポンジやたわしで洗う
  3. お湯で仕上げ洗いをする
  4. 水分を十分拭き取って乾燥させる

塩素系の漂白剤は、銅にダメージを与える可能性があるのでなるべく使わないようにしましょう。

汚れがひどい場合は、硬めのスポンジや亀の子たわしを使ってもかまいませんが、その際は強くこすらないよう気を付けてください。スチール製のたわしは傷になるのでNGです。

焦げ付きを落とす方法

銅鍋などの調理器具は、使っていくうちに焦げ付いてしまいます。焦げ付き汚れを落とす際はこすらないよう注意しましょう。まずはお湯に浸して焦げ付きを柔らかくすることが大切です。

  1. 鍋などを用意し、焦げている部分が浸る程度に水を入れる
  2. クエン酸またはお湯を大さじ1杯(においに注意)
  3. 弱火で30分沸騰させる
  4. スポンジでこする
  5. ピカールなどの銅用研磨剤で磨く

ただし、焦げ付きを落とすことにより、酸化被膜だけでなく製品を溶かしてしまう可能性もあります。多少の傷はついてしまうかもしれません。

緑青(ろくしょう)を落とす方法

緑青は、銅が酸化することで発生する錆の一種です。よく古い10円玉に青みがかった緑色の錆がついていることがありますが、これが緑青です。大仏が青っぽく見えるのも、緑青が発生しているためだといわれています。

緑青自体は人体に影響はありませんが、美観を損なうため発生していたら除去するのがいいでしょう。緑青の落とし方は以下の通りです。

  1. 銅器の汚れを落とす
  2. お酢をつけたスポンジでこする
  3. きれいに洗い流し、柔らかい布で拭き取る

上記の方法でも落ちない場合は、つまようじなどの細い器具を使って物理的に削り落とすことも可能です。金属だと傷になってしまうため、なるべく木製のものを使うといいでしょう。

絵画のお手入れ方法

絵画は、お手入れや保管方法を間違えると劣化が進行してしまいます。最終的に価値を下げることに繋がってしまうので注意が必要です。

保管時は下記のことに配慮しましょう。

  • 直射日光・照明を避ける(紫外線を避ける)
  • 保護紙・中性紙などで包む(劣化を防ぐ)
  • 積み重ねて置かない(重みで作品にダメージ)

絵画は、蛍光灯のわずかな光でも劣化していくデリケートな美術品です。特に紫外線に弱いので、同じ場所に飾りっぱなしにするのは避けてください。紫外線ダメージを防ぐため、額縁のアクリルをUVカットのものにするのもいいでしょう。

絵画自体に手を加えることは難しいですが、保存している額縁のメンテナンスは可能です。ここからは、額縁のお手入れ方法について解説していきます。

フレームのお手入れ方法

フレームのお手入れ方法は以下の通りです。

  1. 柔らかい布で優しく乾拭きする
  2. 四隅・フレームとアクリルの境目を綿棒・筆などで掃除する

フレームは、素材に関わらず乾拭きが原則です。水拭きしてしまうと、木製の場合は変色・変形・カビなどの原因になり、塗装・金箔フレームは剥がれなどの劣化が起きてしまいます。

また、フレームの四隅や境目などは埃が溜まりやすい部分になるため、柔らかく細いもので丁寧に取り除くよう心掛けましょう。汚れがひどくなる前に、こまめにお手入れすることが大切です。

アクリルのお手入れ方法

アクリルの汚れは見栄えを落とすため、定期的な手入れが必要になります。

  1. 柔らかい羽箒や羽叩きで埃を払う
  2. 取れない場合は少し湿らせた柔らかい布で優しく拭く

基本は軽く表面の埃を払う程度のお手入れで十分でしょう。傷がつくと見えづらくなってしまうので優しくおこないましょう。

アクリルはガラスと比較すると傷つきやすい性質を持っています。柔らかい布であっても注意してメンテナンスしてください。

特に、斜め方向への負荷に弱く、傷が目立ちやすくなってしまうので注意が必要です。縦方向、横方向のみに拭き上げるよう気をつけましょう。

また、汚れた面で重ね拭きすると傷になってしまうため、こまめに布面を変えながら拭き取ることも大切です。

掛け軸のお手入れ方法

掛け軸は、古美術品の中でもデリケートで保管が難しい骨董品です。表装裂地と和紙で構成されているため、破れやすく汚れが付着しやすい性質があります。飾る際は以下のことに配慮してください。

  • 高温多湿・直射日光を避ける
  • 生け花(花瓶)は近くに置かない
  • 飾りっぱなしにしない
  • 梅雨時期は飾らない

和紙は非常に繊細なので、空気中の湿気も吸収してシミになってしまいます。

よく掛け軸と花瓶をセットで飾っているのを見かけますが、実は掛け軸へのダメージを考慮するとあまりおすすめできません。花瓶の水による湿気、花粉の付着による劣化が起こる可能性があるためです。飾りたい場合は少し離して置くといいでしょう。

また、作品を長持ちさせたいなら、飾りっぱなしにしないことも大切です。長期間掛けっぱなしにしてしまうと傷んでしまうので、時々休ませるようにしてください。

また、雨や雪の日は湿気が高いため、悪天候が続く場合はいったん収納して眠らせておくことも大切になります。

掛け軸の外し方

お手入れや収納をするためには、一度掛け軸を壁から外す必要があります。傷つけずに外すためにも、以下の方法でおこなってください。

  1. 必ず手を洗い、完全に水気を拭き取ってから触れる
  2. 柔らかい羽箒などで表面の埃を優しく払う
  3. 掛け軸の横に矢筈を立てて準備する
  4. 掛け軸を下から上に巻いていく
  5. 風帯の下まで巻く
  6. 片手で掛け軸を持ち、もう片方で矢筈を持つ(または2人で作業する)
  7. 矢筈で掛け軸のかけ紐を引っ掛け、壁から外す

矢筈(やはず)とは、踏み台を遣わずに掛け軸を掛けたり外したりできる、長い棒状の専用器具です。先端にかけ紐を引っ掛ける金具がついているため、高い位置にあっても簡単に外せるメリットがあります。

外す際は掛け軸へのダメージを最小限に抑えるため、片手で巻き取った部分を持った状態で外すようにしましょう。

掛け軸の汚れの落とし方

掛け軸に一度ついてしまった汚れを自分で処理するのは難しいものです。無理に取ろうとすると破損などのダメージを与えてしまう可能性が高いでしょう。

自分でできる範囲があるとすれば、羽箒などで軽く埃を落とす程度です。汚れが気になるようなら、早めに表具店などの専門家に相談・依頼することをおすすめします。

掛け軸を保管・お手入れする際は「いかに汚さないか」ということに気を付けなければならないのです。

正しい方法で骨董品・美術品のお手入れをしよう

道具は所有者によって形を変えるものです。骨董品や古美術を後世に残したいなら、それぞれの特性を理解し、正しい手入れ方法で保存しなければならないでしょう。

汚れやダメージが酷くなってしまうと、専門の方法でメンテナンスをおこなうか、業者に修復を依頼するしかありません。そうなってしまう前に、日頃からこまめにメンテナンスをおこなう必要があります。

大切な骨董品・古美術品を守るためにも、正しくこまめにお手入れすることを心掛けましょう。